エヴァーギヴン

エヴァーギヴンの概要

エヴァーギヴン（英: Ever Given、中国語: 長賜輪）は、現代の海運業界において特筆すべき存在である世界最大級のコンテナ船です。この船は、日本の今治造船が手がけた「Imabari 20000」設計に基づいて建造された13隻のうちの1隻です。運航は台湾の長栄海運が担当し、船はパナマに登録されています。

主なスペック

エヴァーギヴンは全長399.94メートル、幅58.8メートル、深さ32.9メートルを誇り、現役のコンテナ船の中でも特に長さで際立っています。物資の積載時には水深が約14.5メートルに達し、総トン数は219,079トン、正味トン数は99,155トン、載貨重量トン数は198,886トンです。さらに、この船は20フィートコンテナ換算で最大20,124TEUの積載能力を持っています。

エヴァーギヴンは、固定ピッチのプロペラと低速の2ストローククロスヘッドディーゼルエンジン1基による推進力を持っています。推進機関は、11気筒の三井-MAN B&W製の11G95ME-C9で、定格出力は59,300 kW（約7万9500馬力）であり、サービススピードは22.8ノット（約42.2 km/h）です。また、港湾での操船に備えて、2500 kWのバウスラスタが2基搭載されています。

運用における問題

ハンブルクでの事故（2019年）

エヴァーギヴンは運用開始から間もなく、2019年2月にハンブルクで発生した衝突事故で、長さ25メートルのフェリーと接触し、かなりの損傷を負ったことがあります。この事故はエルベ川の通行禁止令を引き起こしました。

スエズ運河での座礁（2021年）

2021年3月23日には、スエズ運河で他船を阻む形で座礁してしまい、運河の交通が麻痺しました。船は強風の影響を受けており、この事件は国際的に大きなニュースとなりました。エジプトによる気象の分析によると、事故当日は風速が50 km/hに達していました。運河内で発生したこの座礁事故によって、100隻以上の船舶が運河で長時間止められ、多くの企業が供給危機を懸念しました。

座礁後、エジプトの海事当局は船の離礁に向けた作業を開始し、数日間にわたって復旧作業が行われました。最終的に、船は船尾及び船首の両側から離礁し、自力航行を再開しました。

賠償金問題

この事故によって生じた賠償金は、正栄汽船に対して約9億1600万ドルが請求されており、その内訳を巡って協議が続いていました。最終的には賠償金の減額交渉が成立し、エヴァーギヴンは再び運航を開始することができました。

まとめ

エヴァーギヴンは、その規模や設計においてイノベーションを象徴する存在でありつつも、運航中に発生した様々な事故を通じて、海運業界が直面する課題や問題を浮き彫りにしています。将来的には、こうした問題を解決するための戦略や対策が求められ続けるでしょう。

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