エヴリナイト

エヴリナイト（Every Night）概要

ポール・マッカートニーの「エヴリナイト」は、彼の1970年のソロデビューアルバム『マッカートニー』に含まれている楽曲です。この曲は1969年にマッカートニーがギリシャでの休暇中に完成させたものであり、ビートルズ時代の影響も色濃く残っています。特に冒頭の2行は、同年のビートルズのゲット・バック・セッションの際にすでに存在していました。楽曲はマッカートニーの私生活や、ビートルズの解散という困難に対する彼の思いが反映されています。

背景と歌詞の意味

1969年、マッカートニーはトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル中に、この未完成の「エヴリナイト」を初めて演奏しました。彼の言によると、最初のフレーズは数年前から存在しており、ギリシャでの休暇中に完成させたとのことです。歌詞には、ビートルズの解散による心理的な痛手が色濃く表現されており、そんな内面的な葛藤を乗り越えようとするマッカートニーの姿が窺えます。また、妻のリンダとの関係性もこの曲に影響を与えているとされています。

楽曲の構成はシンプルで、Eメジャーのキーのもとにイントロ、二つのヴァース、ブリッジが組み合わさっており、フェードアウトで終了します。メロディの一部は、マッカートニーによる別の楽曲「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」のイントロとしても使われました。

レコーディングプロセス

「エヴリナイト」のレコーディングは1969年の1月、アップル・スタジオで行われました。マッカートニーはリード・ボーカルを務めるだけでなく、3本のアコースティック・ギター、ベース、ドラムを演奏し、ボーカルの一部はダブルトラックになっています。また、レコーディング中には徐々に進化し、形式が整っていきました。特にジョン・レノンが参加したセッションは注目に値します。

1970年2月22日には、EMIレコーディング・スタジオにて「エヴリナイト」と「恋することのもどかしさ」の録音が続けられ、最終的には2月24日にミキシング作業が完了しました。記録的なセッションが続いたこの曲は、マッカートニーの多面的な才能を示すものとなりました。

リリースと評価

「エヴリナイト」は、1970年4月17日にアップル・レコードからリリースされたソロデビューアルバム『マッカートニー』に収録されており、アルバムの中で4曲目に位置しています。音楽評論家からは「甘く、優しい楽曲」とされ、多くの支持を受けました。ポップマターズの評価では、マッカートニーのソロ作品の中でも特に秀逸なものとして賞賛されています。

さらに、ローリング・ストーン誌の「ポール・マッカートニーのソロ名曲ベスト40選」では第13位にランクインし、その人気は衰えることなく続いています。後に、様々なベストアルバムに収録され、アーティストたちによってカバーされることでも注目を集めました。

その他のアーティストのカバー

「エヴリナイト」は、フィービ・スノウをはじめ、ビリー・ジョー・ロイヤルやオデッタ、フィフス・ディメンションなど、多くのアーティストにカバーされています。1978年にはフィービ・スノウがアルバム『詞華集』でカバーし、シングルとしてもリリースされ、各地のチャートでランキングを記録しました。

音楽史において「エヴリナイト」は、ただの楽曲にとどまらず、ポール・マッカートニーのアーティストとしての成長や、彼のライフスタイルや哲学が詰まった重要な作品とされています。

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