エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト

エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト (1897-1957)

エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトは、オーストリアに生まれ、後にアメリカ合衆国で活躍した作曲家兼指揮者です。彼は若くして音楽の才能が花開き、神童としての評判を獲得しました。コルンゴルトは特にハリウッドにおける映画音楽の革新者として知られています。

幼少期と神童の活動

コルンゴルトは1897年5月29日に、現在のチェコ共和国にあたるブリュンに生まれました。彼の父親は音楽評論家のユリウス・コルンゴルトで、音楽に恵まれた家庭環境で育ちました。幼少期から作曲の才能を発揮し、9歳の時に作曲したカンタータを聴いたグスタフ・マーラーは彼の才能を称賛し、「天才だ！」と叫ぶほどでした。さらに、11歳で作曲したバレエ『雪だるま』はウィーン宮廷歌劇場での初演に際して、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の前でも披露され、絶賛を受けました。

12歳の時には『ピアノソナタ第1番 ニ短調』を完成させ、名指揮者リヒャルト・シュトラウスに影響を与えました。13歳の時にはアルトゥール・シュナーベルにより『ピアノソナタ第2番 ホ長調』が紹介されると、彼は14歳にして『劇的序曲』をも完成させ、既にプロ作曲家としてのキャリアを築いていました。とはいえ、幼少期の作品は他人の助けも受けていた点もあり、すべてが独力によるものであるわけではありません。

頂点から亡命へ

16歳から18歳の間に作曲したオペラ『ポリクラテスの指環』や『ヴィオランタ』は高く評価され、1920年にはオペラ『死の都』が大ヒットを記録します。これにより、彼は23歳にして国際的なオペラ作曲家として名を馳せることになります。その後も業績は続き、1927年には『ヘリアーネの奇跡』が成功し、名声は頂点に達しました。しかし、1938年にナチス・ドイツのオーストリア併合に直面すると、彼はユダヤ系作曲家としてアメリカに亡命することとなりました。

映画音楽との出会い

亡命後、コルンゴルトは映画音楽に取り組むことになります。彼はその旋律や管弦楽法の美しさで、映画界に新しい風を吹き込みました。1935年に『海賊ブラッド』で一躍スターダムにのし上がり、翌年の『風雲児アドヴァース』でアカデミー作曲賞を受賞しました。ある意味、映画音楽の先駆者としての評価を確立し、後に『ロビンフッドの冒険』でもアカデミー賞を受賞しました。

大戦後の活動と晩年

第二次世界大戦終結後、コルンゴルトは再び純音楽の作曲に取り組むことを試みましたが、当時の音楽界の流行に受け入れられず、失意の中で亡くなりました。彼は1957年にハリウッドでその生涯を閉じ、同地に埋葬されました。晩年の主要な作品には『ヴァイオリン協奏曲』や『交響曲 嬰ヘ調』などが含まれます。

再評価と影響

コルンゴルトの死後、1970年代から彼の作品が再評価されていきました。映画音楽における彼の功績は周囲に影響を与え、ジョン・ウィリアムズなどの作曲家たちにそのスタイルが引き継がれました。今日では、コルンゴルトは20世紀の重要な作曲家の一人として認識されており、彼の音楽は演奏され続け、多くの作品がCDとしてリリースされています。彼の音楽はどの世代にも響く美しさを持ち続けており、今なお愛されています。

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