海賊ブラッド

1685年、イングランドではジェームズ2世への不満が高まり、モンマスの反乱が発生していました。医師ピーター・ブラッドは、かつて航海術を学び冒険を経験したものの、今は穏やかな開業医として暮らしていました。しかし、反乱に関わった者として逮捕され、奴隷として西インド諸島の植民地へ送られてしまいます。

植民地では、ブラッドは反抗的な態度からアラベラという女性に買い取られます。農場での過酷な労働を強いられる中、ブラッドは奴隷たちの不満を募らせていました。その後、総督の治療をきっかけにアラベラと再会し、二人は互いを意識し始めます。ブラッドは、島を離れることを仄めかし、脱走を計画します。

脱走は成功し、ブラッドは海賊としてカリブ海でその名を轟かせるようになります。規律と統率のとれた海賊団を率い、略奪を繰り返す一方で、アラベラとの関係も複雑に絡み合います。ブラッドは、アラベラを一時捕えますが、彼女への気持ちと、反発の間で葛藤します。

物語は、名誉革命によって大きく展開します。ジェームズ2世が退位し、ウィリアム3世が即位。フランスとイングランドの間に戦争が勃発します。ブラッドは、ウィリアム3世の命を受けて赴任するウィロビー卿と出会い、海賊団をイングランド海軍に迎え入れることを提案されます。名誉を回復したブラッドは、フランス海軍を撃破し、その功績により、かつて自分を奴隷にした植民地の総督に任命されます。

この予想外の展開に、アラベラはブラッドへの愛を認めます。一方、前任の総督ビショップ大佐は、新総督がブラッドであることを知り驚愕します。ブラッドは、奴隷から海賊、そして総督へと、波乱に満ちた人生を歩み、愛と復讐、そして歴史のうねりの中で、その存在を確かなものとしていくのです。

本作は、エロール・フリン演じるピーター・ブラッドの勇敢さと、オリヴィア・デ・ハヴィランド演じるアラベラの魅力的なキャラクター、そしてベイジル・ラスボーン演じるルバスールなど、魅力的な登場人物によって、ドラマを盛り上げています。また、当時の歴史背景を巧みに取り入れ、歴史劇としての深みも持っています。

ピーター・ブラッド：エロール・フリン
アラベラ・ビショップ：オリヴィア・デ・ハヴィランド
ビショップ大佐：ライオネル・アットウィル
ルバスール：ベイジル・ラスボーン
ウィロビー卿：ヘンリー・スティーブンソン
ジェームズ2世：バーノン・スティール

この作品は、名誉革命やウィリアマイト戦争という歴史的な出来事を背景に、個人の運命が歴史の大きな流れの中で翻弄される様子を描いています。また、海賊というロマン溢れる存在を通して、自由と冒険を描いた不朽の名作です。

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