エーリヒ1世 (ザクセン＝ラウエンブルク公)

エーリヒ1世：ザクセン＝ラウエンブルク公の生涯

エーリヒ1世（Erich I, 1280年頃 - 1360年）は、中世後期にザクセン地方を統治した人物です。彼はザクセン公の地位を父から引き継ぎましたが、その統治は決して平穏なものではありませんでした。

生涯

エーリヒ1世は、ザクセン公ヨハン1世とインゲボルグ・ビルイェルドッテルの間に生まれました。1282年、父ヨハン1世はエーリヒ1世とその兄弟アルブレヒト3世、ヨハン2世に公爵位を譲りました。しかし、当時3兄弟は未成年であったため、叔父であるアルブレヒト2世が彼らの養育にあたりました。

兄弟たちは成長し、親政を開始しますが、ザクセン公の共同統治者として兄弟と叔父アルブレヒト2世の名が記された文書は1295年が最後となります。その後、ザクセンはエーリヒ1世兄弟が統治するザクセン＝ラウエンブルクと、叔父アルブレヒト2世が統治するザクセン＝ヴィッテンベルクに分割されることになります。

1296年9月20日以前にザクセンは明確に分割され、フィーアランデ、ザーデルバンデ（ラウエンブルク領）、ラッツェブルク領、ダルジンク領（後のノイハウス）、ハーデルン領が兄弟の分割領として記録されました。アルブレヒト2世はヴィッテンベルクとベルツィヒ周辺のザクセン＝ヴィッテンベルクを獲得しました。

エーリヒ1世とその兄弟は当初ザクセン＝ラウエンブルクを共同で統治していましたが、その後領土は3分割されます。ただし、飛び地であるハーデルン領は3人の共同統治のままでした。エーリヒ1世はベルゲドルフ（フィーアランデ）とラウエンブルクを保持し、1308年に弟アルブレヒト3世が嗣子なく亡くなると、彼の領地であったザクセン＝ラッツェブルクと、アルブレヒト3世の未亡人マルガレーテ・フォン・ブランデンブルク＝ザルツヴェーデルの死後の留保分を相続しました。しかし、兄ヨハン2世もその領地を主張したため、1321年にエーリヒ1世はベルゲドルフ（フィーアランデ）をヨハン2世に譲渡します。この結果、ヨハン2世の領地はザクセン＝ベルゲドルフ＝メルン、エーリヒ1世の領地はザクセン＝ラッツェブルク＝ラウエンブルクとして知られるようになりました。

1338年、エーリヒ1世は息子のエーリヒ2世に領地を委ねます。しかし、エーリヒ2世と隣接するブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公ヴィルヘルム2世との間で対立が生じ、ヴィルヘルム2世の軍勢によってエーリヒ1世はキルヒヴェルダーのリーペンブルク城から追放されてしまいます。エーリヒ1世は孫娘ユッタを頼り、ホーヤ伯領の首都であるニーンブルク・アポン・ヴェーザーへと亡命しました。

結婚と子女

エーリヒ1世は、1316年または1318年にポメラニア公ボギスラフ4世の娘エリーザベトと結婚し、以下の子どもたちをもうけました。

エーリヒ2世（1318/20年 - 1368年） - ザクセン＝ラウエンブルク公
ヨハン（1372年没） - カンミン司教（1344年 - 1372年）
* ヘレナ（1354年以降） - ホーヤ＝ブルッフハウゼン伯ヨハン2世と結婚

エーリヒ1世の生涯は、領土の分割や相続争い、そして晩年の亡命生活など、決して平坦なものではありませんでした。しかし、彼の統治はザクセン地方の歴史に大きな影響を与え、その足跡は後世にまで語り継がれています。

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