エールド

エールド（Érd）は、ハンガリーのペシュト県に位置し、ブダペスト大都市圏に属する都市です。その歴史は非常に古く、この地からは5万年前の男性の骨が発見されており、古代から人が生活していたことが分かります。エールドという名前が初めて記録に登場したのは1243年で、その語源は「森」を意味する「erdő」か「小川」を意味する「ér」に由来すると考えられています。

16世紀には、オスマン帝国がセーケシュフェヘールヴァールを攻略した際にこの地も占領され、モット・アンド・ベーリー様式の城やモスクが建設されました。オスマン帝国支配下では、この町はハムザベイ（Hamzabey）と呼ばれていました。17世紀後半にロレーヌ公シャルル5世率いる軍隊がオスマン帝国を打ち破るまで、その支配は続きました。エールドは1776年に町（oppidum）としての地位を得ましたが、それ以前から町としての発展の可能性はありました。20世紀初頭にはカーロイ家の所有となり、町は発展を遂げました。しかし、観光地として注目されるようになったのは1972年以降で、それまでは主に農業が中心の地域でした。

特に1991年から2001年にかけては、国内でも有数の30.6%という高い人口増加率を記録しました。2005年には、国会によって2006年の次期議会選挙の際に、エールドに県の権限を有する都市の地位を与えることが決定されました。

交通面では、周辺のショーシュクート、プスタザーモル、サーズハロムバッタ、ブダペストなどの都市との間で多くのバスが運行されており、エールド駅、エールド・アルソー駅、エールド・フェルセー駅、NT＝エールドリゲット駅、エールドリゲット駅の5つの駅が存在し、ブダペスト、ペーチ、ナジカニジャなどの主要都市へのアクセスも容易です。

観光スポットとしては、地理学者デーネシ・バラージによって設立されたハンガリー地理博物館、聖ミハーイ教会、17世紀にトルコによって建てられたミナレット（国内に3つしか現存しない）、古代ローマ時代の街道の遺構、希少な植物種が生息するフンドクリアの谷などが挙げられます。

民族構成は、マジャール人が93.4%と大半を占め、次いでローマ人が1%、ゲルマン人が0.6%、その他が0.8%、無回答・不明が4.2%となっています。宗教別では、ローマカトリックが49.2%と最も多く、カルヴァン主義が14.2%、東方正教会が2.2%、ルーテル教会が1.8%、その他のキリスト教が1.5%、その他が0.2%、無神論が16.5%、無回答・不明が14.3%となっています。

エールドは、チェコのコリーン、スロバキアのレヴィツェ、中国の徐州市、ルーマニアのレギン、イギリスのポイントン、ポーランドのルバチュフと姉妹都市提携を結び、国際的な交流も活発に行っています。

このように、エールドは歴史的な背景と近年の発展を併せ持つ、ハンガリーにおいて注目すべき都市の一つです。

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