オウロ・プレット

オウロ・プレット：ブラジルの黒い黄金が織りなす歴史と文化の街

ブラジル南東部、ミナス・ジェライス州に位置するオウロ・プレットは、18世紀のゴールドラッシュで栄華を極めた歴史都市です。ポルトガル語で「黒い黄金」を意味するその名は、この地でかつて盛んに行われた金鉱採掘の歴史を物語っています。

ゴールドラッシュと都市の形成

1698年、この地域で金鉱が発見されると、ピラールとアントーニオディアスの2つの鉱山集落が形成されました。人口増加と商業の発展に伴い、1711年には両集落が統合され、「ヴィラ・リカ（豊かな町）」として市制を施行。その後、1745年にはミナス・ジェライス地方の州都となりました。

オウロ・プレットは、ゴールドラッシュによって急速に発展した都市です。発見からわずか40年で10万人を超える人口を抱えるまでに成長しました。現在でも、街並みは植民都市時代の面影を色濃く残し、バロック様式の教会建築などが数多く見られます。特に、ブラジルのミケランジェロと呼ばれる彫刻家、アントニオ・フランシスコ・リスボー（アレイジャジーニョ）の作品は必見です。

歴史的出来事と文化遺産

オウロ・プレットは、ブラジル独立運動においても重要な役割を果たしました。1789年には、ブラジル独立の端緒となった「ミナスの陰謀」の舞台となりました。この反乱の指導者、チラデンテスは、現在でもオウロ・プレットの中心広場にその名を刻んでいます。

1823年にオウロ・プレットと改称された後も、教育機関の発展が見られました。1839年には薬学学校、1876年にはドン・ペドロ2世によって鉱物学校が開校し、ブラジルの鉱物学研究の中心地として発展しました。

19世紀に入ると金鉱の枯渇により州都の地位はベロ・オリゾンテに移りましたが、オウロ・プレットの歴史的価値は高く評価され続け、1980年にはユネスコの世界遺産に登録されました。街全体が貴重な歴史的遺産であり、多くの観光客が訪れる人気の観光地となっています。

オウロ・プレットの現在

現在、オウロ・プレットの主産業は観光業です。しかし、金やその他の鉱物の採掘も依然として重要な産業の一つであり、イタビライトなどの鉄鉱石の採掘が続けられています。アルミニウム、鉄、ボーキサイト、マンガンなどの鉱物資源が豊富に産出され、鉱物加工業も盛んです。

また、オウロ・プレットは活気ある大学都市としても知られています。オウロ・プレット連邦大学は、約1万人の学生を抱え、多くの学生が「ヘプブリカ」と呼ばれる共同学生宿舎で生活しています。このヘプブリカは、独自の伝統と文化を持つユニークな学生コミュニティです。

オウロ・プレット連邦大学は、特に地質学、採掘学においてブラジル最高水準の教育を提供しており、その学術誌『REM-Revista Escola de Minas』は国際的な評価も得ています。

歴史と文化、教育、そして自然が調和するオウロ・プレットは、ブラジルを代表する魅力的な都市と言えるでしょう。その美しい街並みと豊かな歴史に触れ、ブラジルの歴史と文化を深く知ることができるでしょう。

都市データ

人口：約68,000人（2004年）
面積：1,245 km²
標高：1,116 m（最高地点1,722 m）
気温：平均6℃～28℃（6月、7月は2℃まで低下）
年間平均雨量：約2,000 mm

主要都市からのアクセス

ベロ・オリゾンテ：約100 km、バスで約2時間
リオ・デ・ジャネイロ：約475 km、バスで約7時間
サンパウロ：約675 km、バスで約7時間
* ブラジリア：約840 km、バスで約14時間

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