オオエライジン

オオエライジンは、2008年5月1日、北海道浦河町の伏木田牧場で誕生した競走馬である。幼少期は体が小さく、競走馬として成功できるかどうかは不透明であった。しかし、冬を越える間に急激に成長し、2010年の北海道トレーニングセールで川根幸晴氏に購入され、園田競馬場の橋本忠男厩舎に入厩した。

2010年8月3日、JRA認定競走の新馬戦でデビュー。大山真吾騎手を鞍上に9馬身差で圧勝し、華々しいデビューを飾る。その後、木村健騎手を主戦騎手として、兵庫若駒賞など重賞を次々と制覇し、2歳シーズンを4戦4勝で終えた。

翌2011年は、園田ユースカップなど重賞を3勝。しかし、骨膜炎のため菊水賞や兵庫チャンピオンシップには出走できなかった。この間、兵庫3歳クラシック路線では、兵庫若駒賞でオオエライジンに僅差で敗れたホクセツサンデーが活躍し、菊水賞を制覇した。兵庫チャンピオンシップでは、ホクセツサンデーはオオエライジン不在の中、2着に好走している。

6月9日の兵庫ダービーでは、ホクセツサンデーとのマッチレースが予想された。木村騎手がオオエライジンを選択し、ホクセツサンデーは川原正一騎手が騎乗した。レースはオオエライジンが逃げ切り、7馬身差の圧勝。無敗の兵庫ダービー馬となり、前年のダービー馬メイレディに続き、2年連続で兵庫若駒賞勝ち馬がダービーを制覇するという快挙を達成した。

その後、大井競馬場の黒潮盃や岐阜金賞など他場でも重賞を勝利し、スポニチなにわ賞でデビューから10連勝を達成するなど活躍を続けた。年末の兵庫ゴールドトロフィーでは、JBCスプリントの上位入選馬に敗れ3着となったものの、2011年のNARグランプリ3歳最優秀牡馬を受賞した。

2012年は、佐賀記念で1番人気に支持されたものの、気性難のため直線で失速。その後は短距離戦に出走するようになった。園田金盃では同期馬のニシノイーグルに敗れ、地元での初黒星を喫した。その後、南関東への転出を目指して大井競馬場の井上弘之厩舎に移籍するが、調教中に鼻出血を発症し、一度も出走できなかった。

2013年4月、寺嶋正勝厩舎に移籍し、兵庫県競馬に復帰。鼻出血の再発防止のため、レース間隔を40日以上空けることになった。復帰初戦は勝利し、続く園田金盃では、1年半ぶりにホクセツサンデーと対戦し、勝利。

2014年1月3日、川崎競馬場の報知オールスターカップでは、下原騎手が新幹線運休のため参加できず、張田京騎手が代役として騎乗し優勝。その後も地方競馬で活躍を続け、2012年以来2年ぶりに帝王賞に出走するも、競走中に故障を発症し、予後不良のため安楽死となった。

オオエライジンの半妹であるエンジェルツイートも、2011年のNARグランプリ2歳最優秀牝馬に選ばれており、兄弟揃っての受賞となった。オオエライジンは、その圧倒的な強さと、惜しまれつつも幕を閉じた生涯により、地方競馬史に名を残す名馬として記憶されている。また、橋本忠男厩舎でオオエライジンを担当していた橋本忠明調教師補佐は、後に調教師となり、オオエライジンを理想とする馬を育成することを目標に活躍した。オオエライジンの母系には、東京優駿（日本ダービー）を制した名牝クリフジがいることも知られている。

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