オオカナダモ

オオカナダモ（Egeria densa）

オオカナダモは、トチカガミ科に属する沈水植物で、学名はEgeria densaです。日本では「アナカリス」という名前でも知られています。この植物は南アメリカの亜熱帯から温帯地域が原産で、日本には生物の実験材料として持ち込まれ、その後広範囲にわたって繁殖が進みました。

特徴

オオカナダモは、同じく水中に生育する日本原産のクロモに似ていますが、サイズが二回り大きいのが特徴です。特に長いものでは全長が1メートルを超えることもあります。その茎の上部で分枝し、葉は三輪生から六輪生の配置で、葉身の大きさは長さ15〜40mm、幅が2.0〜4.5mm程度です。また、葉には微細な鋸葉があり、5月から11月にかけては水上に白い三弁の花を咲かせ、これが目立つ美しさを引き立てています。ただし、日本においては雄株のみが存在し、雌雄異株ではありますが雌は確認されていません。

生態

オオカナダモは1940年代、山口県で野生化が記録され、1970年代には琵琶湖での急激な繁茂が問題視されるようになりました。低温や水質の悪化にも耐えるため、全国の河川や湖沼に定着し、特に本州、九州、四国で見られるようになりました。残念ながら、その強力な繁殖力のために在来種であるクロモはほとんど姿を消してしまい、全体的な生態系に悪影響を及ぼしています。さらに、オオカナダモは水中で異常に成長するため、航行にも支障をきたす事態が発生することがあります。このため、佐賀県では移入規制種として指定されています。

利用方法

実験用素材

オオカナダモは、細胞観察の素材として非常に役立っています。水草なのでその葉は薄く、スライドガラスの上に載せるだけで細胞や葉緑体を観察することができます。また、細胞が大きいため、特に観察がしやすいのも特徴です。この植物の原形質流動は注目されており、光学顕微鏡でその様子を観察できるため、学校の理科の実験で良く利用されています。また、光合成実験にもオオカナダモは適しており、その頑丈さが評価されています。

アクアリウムでの利用

アクアリウムの世界でも、オオカナダモは「アナカリス」として広く流通しています。この植物は金魚藻のひとつで、安価に手に入れやすく、悪環境でも成長する強靭さから、簡単に栽培が可能です。ただし、自然環境から採取した場合、寄生虫や雑菌が水槽に混入する恐れがあるため、必ず殺菌処理を施してから使用することが望まれます。

オオカナダモは繁殖力が非常に強いため、成長が早く長く伸びることがあります。そのため、水槽の景観を損なうだけでなく、他の水草への光の遮断を引き起こすため、定期的なトリミングが必要となります。ただ、光量やCO₂添加に関しては特に気を使う必要がなく、そのため水面に浮かべておくだけでも枯れにくい特性があります。

まとめ

オオカナダモはその強い繁殖力や特性から、日本の生態系に深刻な影響を及ぼしている外来種である一方、観察やアクアリウムでの利用など、さまざまな面で人間に役立てられています。

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