オオバナノエンレイソウ

オオバナノエンレイソウ（大花延齢草、学名：Trillium camschatcense）は、シュロソウ科エンレイソウ属に分類される多年草です。

特徴

北海道や本州北部に分布し、特に北海道では各地で群生が見られます。草丈は30cmから70cm程度に成長し、茎の先端には菱形状の広卵形の葉が3枚輪生します。開花時期は5月から6月で、茎の先端に直径5cmから7cmほどの大きな白い花を咲かせます。花の中央には子房があり、その周囲を6本の雄しべが取り囲んでいます。

エンレイソウ属の学名である「Trillium」は、「3のユリ」を意味し、これは開花した個体が3枚の花弁、萼片、葉を持つことに由来します。同じく白い花弁を持つミヤマエンレイソウ（シロバナエンレイソウ）と比較すると、オオバナノエンレイソウの方が花が大きく、ミヤマエンレイソウが横向きに咲くのに対し、やや上向きに咲く傾向があります。また、オオバナノエンレイソウの花弁はより丸みを帯びており、先端もあまり尖らないのが特徴です。

エンレイソウの仲間は、開花までに10年から15年を要すると言われています。その後、最低でも10年間はほぼ毎年花を咲かせると考えられており、1つの種子が芽を出してから枯れるまでの寿命は20年から50年程度と推測されています。

北海道には、オオバナノエンレイソウの他に、花弁を持たないエンレイソウ、ミヤマエンレイソウ、シラオイエンレイソウ（三倍体）、カワユエンレイソウ、トカチエンレイソウ、ヒダカエンレイソウの計9種のエンレイソウ属植物が自生しています。さらに、染色体の解析により、三倍体シラオイエンレイソウが染色体倍加したシラオイエンレイソウ（六倍体）や、古代のエンレイソウ属植物の雑種に由来すると考えられるコジマエンレイソウも確認されています。

北海道大学の敷地内では、5月下旬頃に北キャンパスの原生林で、オオバナノエンレイソウの群落を観察することができます。この美しい花は、北海道大学の校章にも採用されています。

分布と生育環境

オオバナノエンレイソウは、北海道と本州（北部）に分布しています。低地から亜高山帯の湿地、平地の草原、明るい森林内などで群生していることが多く見られます。

近縁種

オオバナノエンレイソウの近縁種としては、以下の種が挙げられます。

エンレイソウ（延齢草、学名：Trillium smallii）
ミヤマエンレイソウ（深山延齢草、学名：Trillium tschonoskii）

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