オキナワコウバシ

オキナワコウバシ（沖縄香ばし）

オキナワコウバシ（学名: Lindera communis var. okinawensis）は、クスノキ科クロモジ属に分類される常緑亜高木です。別名としてオキナワヤマコウバシとも呼ばれます。この植物は日本の固有変種であり、沖縄県にのみ分布しています。

分布と生育環境

オキナワコウバシは、沖縄島と石垣島に分布しています。主に低地から山地の石灰岩地に生育しますが、石垣島では石灰岩地ではない場所でも見られます。これは、この植物が多様な環境に適応できる能力を持っていることを示唆しています。

形態

オキナワコウバシは常緑の亜高木で、若い枝には伏した毛がありますが、成長するにつれて無毛になります。葉は互い違いに生え（互生）、形は倒披針状楕円形です。葉の大きさは長さ4～8cmで、側脈は4～5対あり、葉の裏面は隆起しています。また、葉の裏面は灰白色をしています。

花は傘形花序を形成し、総花梗の長さは2～3cm、小花梗の長さは2mmです。花の色は淡い黄緑色をしています。果実は球形をしており、直径は約6mmです。熟すと深紅色に変化します。

保護状況

オキナワコウバシは、環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧II類（VU）に指定されており、絶滅の危機に瀕しているとされています。また、沖縄県のレッドデータブックでは準絶滅危惧として掲載されており、地域レベルでも保護の対象となっています。

レッドデータブック掲載状況

環境省レッドリスト：絶滅危惧II類 (VU)
沖縄県レッドデータブック：準絶滅危惧

参考文献

沖縄県文化環境部自然保護課編 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物（菌類編・植物編）-レッドデータおきなわ-』、2006年。
環境省自然環境局野生生物課編 『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物 植物I』 財団法人自然環境研究センター、2000年。
島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧』 九州大学出版会、1997年。
初島住彦・天野鉄夫 『増補訂正 琉球植物目録』 沖縄生物学会、1994年。

外部リンク

* J-IBIS絶滅危惧種情報 - 環境省版RDBでのオキナワコウバシの解説

オキナワコウバシは、その美しい姿と生態的な特徴から、沖縄の自然を代表する植物の一つと言えるでしょう。しかし、その生育環境は限られており、絶滅の危機に瀕しています。この貴重な植物を未来に残すためには、適切な保護策と環境保全への取り組みが不可欠です。

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