オスカー・ニーマイヤー

オスカー・ニーマイヤーは、1907年ブラジルリオデジャネイロで生まれ、2012年に104歳で亡くなるまで、建築家として活躍しました。彼の作品は、その独創性と革新性において、20世紀の建築に多大な影響を与えました。

生い立ちと初期のキャリア



ニーマイヤーは、ドイツ系の家庭に生まれましたが、自身は「インディオや黒人の血が混ざっているかもしれない」と語り、多様なルーツを誇りとしていました。1934年にリオデジャネイロ国立芸術大学建築学部を卒業後、ルシオ・コスタとカルロス・レアンの設計事務所で働き始めました。この時期に、ル・コルビュジエとの出会いが彼のキャリアに大きな影響を与えました。特に、旧教育保健省庁舎の設計では、コルビュジエのモダニズム建築の影響を受けました。

ブラジリアの建設



1940年代には、ベロオリゾンテの市長であったジュセリーノ・クビチェックと出会い、パンプーリャ湖畔の開発プロジェクトに参加しました。1956年、クビチェックが大統領に就任すると、ニーマイヤーは新首都ブラジリアの建設プロジェクトに参画しました。ルシオ・コスタが都市計画を統括する中、ニーマイヤーは大統領官邸、国会議事堂、最高裁判所などの主要な建物の設計を担当しました。これらの建築物には、ニーマイヤーの特徴である「自由な曲線」が多用されており、ブラジリアは1987年に近代都市として初めて世界遺産に登録されました。ブラジリアの建設は、ニーマイヤーのキャリアにおける最大の業績の一つとされています。

亡命と帰国



1960年代から1980年代にかけてのブラジルの軍事政権下では、ニーマイヤーの左翼的な政治志向が問題視され、ブラジルでの設計活動を禁じられました。1967年にはフランスパリに亡命し、その後20年間はヨーロッパを中心に活動しました。フランス共産党に入党し、党本部の設計も手がけました。1985年の民政復帰後、ブラジルに帰国し、再び設計活動を開始しました。彼は晩年まで、故郷リオデジャネイロを拠点に、数多くの建築作品を残しました。

受賞と評価



ニーマイヤーは、その功績に対し、レーニン国際平和賞(1963年)、プリツカー賞(1988年)、アストゥリアス皇太子賞1989年)、高松宮殿下記念世界文化賞(2004年)など、数々の賞を受賞しました。また、ヨハネ・パウロ2世から大聖グレゴリウス勲章、スペイン政府から芸術文学勲章を授与されました。これらの受賞は、彼の建築家としての国際的な評価を裏付けています。

代表的な作品



ニーマイヤーの代表的な作品には、パンプーリャ湖畔の複合施設、ブラジリアの主要な建築物、コパン・コンプレックス、イビラプエラ公園、ニテロイ現代美術館などがあります。これらの建築物は、彼の独特なスタイルである「自由な曲線」を多用し、モダニズム建築の新しい可能性を示しました。

晩年と死



2012年12月5日、ニーマイヤーは肺炎のため、リオデジャネイロの病院で104歳で亡くなりました。彼の遺産は、世界中の建築家やデザイナーに影響を与え続けています。また、ブラジルが所有するニーマイヤーの設計図や著述、書簡などは、ユネスコ記憶遺産に登録されており、その文化的価値が認められています。

ニーマイヤーの作品は、単なる建築物ではなく、芸術作品として評価されるべきです。彼の創造性と革新性は、未来の建築家たちにインスピレーションを与え続けるでしょう。

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