ジュセリーノ・クビチェック

ジュセリーノ・クビチェック・デ・オリヴェイラ（1902年9月12日 - 1976年8月22日）は、ブラジルの政治家であり、元ブラジル連邦共和国大統領です。愛称は「JK」として知られています。

生い立ちと初期のキャリア

クビチェックは、行商人の父ジョアン・セザル・デ・オリヴェイラと、教師の母ジュリア・クビチェックの間に生まれました。母方の祖先はチェコからの移民であり、元々の姓はKubíčekでしたが、ドイツ語風にKubitchekと変えられました。また、民族的にはロマの血を引いています。3歳の時に父親を亡くし、一家は母親の収入だけで生活を支えました。

ミナス・ジェライス連邦大学で学んだ後、政界に進出。1934年には同州の州議会議員に選出され、その後、1940年には州都ベロオリゾンテの市長に就任しました。市長を再選された後、1950年にはミナスジェライス州知事に選出され、政治家としてのキャリアを積み重ねました。

大統領時代

1955年、「50年の進歩を5年で」というスローガンを掲げ、大統領選挙に立候補し、当選を果たしました。選挙運動中は、自ら航空機を操縦してブラジル各地を飛び回り、国民にアピールしたことから「ジェット大統領」と呼ばれるようになりました。1956年1月31日に大統領に就任し、日本、アメリカ、ドイツなどからの外資導入と工業化を積極的に推進しました。

ブラジリア建設

クビチェックの最大の功績の一つは、内陸部の発展を目的とした新首都ブラジリアの建設です。1956年に着工され、クビチェックの任期内である5年以内に完成させるため、わずか41ヶ月という驚異的なスピードで建設が進められました。1960年4月21日には、それまでの首都であったリオ・デ・ジャネイロから、ブラジリアへと首都が移転されました。

しかし、ブラジリア建設のための無理な借款や、遷都にかかる莫大な資金は、ブラジル経済に大きな負担をかけました。また、サンパウロ、リオ・デ・ジャネイロ、クリチバなどの主要都市から遠く離れ、陸上交通網も未発達なブラジリアへの首都移転は、効率の低下も招きました。これらの要因が重なり、1960年代から1980年代にかけてのハイパーインフレーションと経済停滞の原因の一つとなりました。

評価とその後

クビチェックは、積極的な外資導入などにより、日本やアメリカなどの諸外国からは高く評価されました。しかし、ブラジリア建設と首都移転の強引な手法や、それに伴う経済的な混乱は、ブラジル国内で賛否両論を巻き起こしました。1960年10月の大統領選挙では、クビチェックの後継候補が敗北し、1961年1月に任期満了に伴い大統領を辞任しました。

辞任後、1964年4月に軍部親米派のカステロ・ブランコ将軍によるクーデターが起こり、クビチェックは10年間の公民権剥奪を命じられました。これを機にアメリカやヨーロッパに亡命しましたが、1967年にブラジルに帰国しました。1976年、リオ・デ・ジャネイロ郊外で自動車事故により死去しましたが、2013年12月10日には、政府あるいはサンパウロ市の「ウラジミール・ヘルツォークの真実委員会」が、クビチェックの死は軍部による暗殺だったと発表しました。しかし、証拠などの詳細は明らかにされていません。

ブラジリアの国際空港と橋には、クビチェックの名前が付けられています。また、1985年から発行されていた旧10万クルゼイロ紙幣と、1986年のデノミネーションに伴って切り替えられた100クルザード紙幣には、クビチェックの肖像が使用されていました。

関連項目

オスカー・ニーマイヤー
ルシオ・コスタ
* プレジデント・ジュセリノ・クビシェッキ国際空港

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