ルシオ・コスタ

ルシオ・コスタ（1902年2月27日 - 1998年6月13日）は、ブラジルを代表する建築家であり、都市計画家です。特に、ブラジルの首都ブラジリアの設計者として世界的に知られています。ブラジルのモダニズム建築において最も重要な人物の一人とされていますが、彼の建築キャリアにおいて実際に実現した作品は多くありません。その代わりに、彼は多くの文章を残しており、その文面からは高姿勢な態度がうかがえ、しばしば論争の的となりました。

生い立ちと初期のキャリア

コスタは1902年にフランスのトゥーロンで生まれ、1916年までヨーロッパで過ごしました。イギリスのニューカッスル・アポン・タインの王立学校や、フランスのモントルーにあるコレージュ・ナシオナルで学びました。1917年にブラジルに渡り、国立美術学校で建築を専攻し、在学中にル・コルビュジエから強い影響を受けました。

1924年に学校を卒業した後、初期には折衷主義の作品を手がけましたが、1929年頃からモダニズムへと傾倒しました。1930年には、ロシア生まれのブラジル人建築家グレゴリー・ワルシャヴィチクと共同で美術学校を設立しましたが、教育方針をめぐり教授陣と学生全体から反発を受け、1年後に辞職することになりました。

国立歴史芸術遺産会での活動

1937年、コスタはロドリゴ・メーロ・フランコ・デ・アンドラデの下で新たに設立された国立歴史芸術遺産会SPHANに加わり、会長の職を引き受けました。彼は引退までこの組織に関わりましたが、その在任中に、地方に対し国家の要人としての立場から多くの論争を招く決定に関与することになりました。

遺産会の長として、コスタは建築や都市施設の歴史的遺産の保存に関して適切な判断を求められました。しかし、彼自身の個人的な指向と政治的な思惑が技術的な判断を妨げ、1975年にはパラシオ・モンロー（1906年に建てられたブラジル上院議会堂の所在地）のランドマーク条例の調印を拒否するという醜聞を引き起こしました。この建物は地下鉄建設のために取り壊される予定でしたが、市民やメディアの反対を受け、建設会社は建物を保存するために地下鉄の路線を変更しました。しかし、コスタのこの決定がこの努力を無駄にし、開発者はその後建物を完全に破壊してしまいました。

この歴史的で芸術的に価値の高い建物に対するコスタの態度は、リオデジャネイロ州に残る由緒ある建物の損失を引き起こしました。その背景には、折衷主義建築に対するモダニスト特有の嫌悪感と、パラシオ・モンローの設計者が、コスタの若い頃のライバルであった人物の息子であったという事実がありました。このコスタの態度は、建築を学ぶ若い遺産保存論者にも影響を与え、その結果、ドイツ、日本、イタリアからの移民が建てた建築物を含む、19世紀から20世紀初頭にかけての多くの建築物が、1960年代と1970年代の都市再開発で失われました。

ブラジリアの設計

1956年、コスタはブラジルの首都ブラジリアのコンペに応募し、見事入選しました。彼の作品の中で最も有名なのは、ブラジリアの飛行機型都市計画「パイロット・プラン」であり、1957年に実際に計画・設計され、1958年から1960年にかけて建設されました。

その他の建築作品

コスタのその他の建築作品としては、1939年にオスカー・ニーマイヤーと共に設計したニューヨーク博覧会のブラジル館、1948年のリオの住宅地パルケ・ギール、エドゥアルド・ギンレ公園集合住宅群（1952年まで）、1948年のノヴァフリブルゴ、パルク・サオ・クレメンテなどがあります。これらのモダニズム建築作品、特にル・コルビュジエとの共同作品において、コスタは伝統的なブラジルの要素を効果的に取り入れています。また、イタリア・ミラノのLinate空港近くにあるエディフィシオ・モンテドーリも彼の作品の一つです。

また、ブラジリアと並んで高く評価されている作品に、1936年から1943年にかけてル・コルビュジエ、ニーマイヤー、ロベルト・ブール・マルクスと共に設計したリオの教育・健康省庁舎（グスターボ・カパネマ宮殿）があります。この建物は、当初折衷主義のデザインがコンペで当選しましたが、審査員であったコスタはコンペの結果を破棄し、政治的なコネを使って新チームを編成しました。このチームには、ル・コルビュジエ、ロベルト・ブラザーズ、そしてコスタのインターンであった若き建築家オスカー・ニーマイヤーが加わりました。実際には、コスタとル・コルビュジエの間で思想や考え方の不一致が生じ、プロジェクトリーダーが不明確なまま、設計は遅延しました。

死去

ルシオ・コスタは、1998年にリオデジャネイロで亡くなりました。

関連事項

オスカー・ニーマイヤー
ジュセリーノ・クビチェック

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