オズの魔法使い (1982年の映画)

アニメ映画『オズの魔法使い』(1982年)

1982年に公開されたアニメ映画『オズの魔法使い』は、ライマン・フランク・ボームの児童文学小説『オズの魔法使い』(The Wonderful Wizard of Oz)を原作とする作品です。監督は高山文彦、製作には東宝が参加しており、東宝がアニメ映画制作に関わった最初の作品という点でも注目に値します。

物語

カンザスに住む少女ドロシーは、竜巻に巻き込まれ、魔法の国オズに迷い込みます。オズでは、かかし、きこり、ライオンと出会い、それぞれが抱える願いを叶えるため、オズの大王のもとへと旅立ちます。道中、様々な困難や魔法使いたちとの出会いを経ながら、ドロシーたちは友情を深め、それぞれの夢を叶えていく、というストーリーです。

キャストとスタッフ

豪華な声優陣が集結したことも本作の魅力の一つです。ドロシー役には、1974年のTBS版『オズの魔法使』の吹き替えでドロシー役を演じた岡本茉利が起用されました。その他、かかし役に寿ひずる、きこり役に八奈見乗児、ライオン役に雨森雅司など、当時人気を博した声優たちがキャラクターたちに命を吹き込みました。

スタッフ陣も、脚本に宮崎晃、演出に高山文彦といった、実力派が名を連ねています。宮崎晃は、1986年のテレビアニメ『オズの魔法使い』にも携わっており、本作への深い関与がうかがえます。また、作画監督には小林幸治、美術監督には小林七郎、音楽には久石譲と、アニメーション界を代表する才能が集結し、作品クオリティを高めています。

制作と公開

劇場公開を予定していたものの、諸事情により劇場公開は中止となりました。しかし、1982年7月1日よりビデオソフトとして発売され、CS放送でも放映されるなど、広く視聴者に親しまれました。VHSとベータマックスで発売されたビデオソフトは、現在では入手困難となっており、DVDやBlu-ray化もされていないため、コレクターアイテムとして高い価値を持つようになっています。主題歌「だれかが私を待っている」、挿入歌「1+1は何？」は、堀江美都子、こおろぎ'73が歌唱し、作曲は小田裕一郎、編曲は久石譲が担当するなど、音楽面でも高い完成度を誇ります。

作品の評価と影響

『オズの魔法使い』は、原作の持つファンタジー性と、日本のアニメーション技術が見事に融合した作品として、高い評価を得ています。劇場未公開という点において、一般的には知名度が低い作品ですが、ビデオソフトやCS放送を通じて、多くのファンに愛されてきました。現在でも、その独特の世界観や魅力的なキャラクターは、多くのアニメファンを惹きつけてやみません。原作小説の持つ普遍的なテーマと、アニメーションならではの表現力が調和した、忘れ難い作品と言えます。

備考

* 本作は、1986年に放送されたテレビアニメ『オズの魔法使い』とは全く別の作品です。

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