オソン1世

オソン1世：ギリシャ初代国王の生涯

オソン1世（1815年6月1日 - 1867年7月26日）は、ギリシャ王国の初代国王として知られています。バイエルン王国のヴィッテルスバッハ家出身で、本名はオットー・フリードリヒ・ルートヴィヒ・フォン・ヴィッテルスバッハです。彼は、ギリシャがオスマン帝国から独立した後、1832年のロンドン会議の結果、ギリシャの王位に就きました。

ドイツ人君主の誕生

オソン1世はオーストリアのザルツブルクで生まれました。父はバイエルン国王ルートヴィヒ1世、母はザクセン＝ヒルトブルクハウゼン公女テレーゼです。兄にはバイエルン国王マクシミリアン2世、弟にはバイエルン摂政ルイトポルトがいます。ギリシャ独立戦争後、列強はギリシャを君主制国家とすることを決定し、東ローマ皇帝の血を引き、中立的な立場にあるバイエルンのオットー王子が選ばれました。

1832年、18歳になったばかりのオソンは、当時の首都ナフプリオに上陸しました。彼はバイエルンの廷臣たちに囲まれていましたが、新国家の財政はイギリス、フランス、ロシアとロスチャイルド家によって保証されていたものの、ギリシャの経済状況は深刻でした。新政府が課した税金はオスマン帝国時代よりも重く、国民の不満を招きました。また、オソンはギリシャの風習に無関心で、ギリシャ正教に改宗することなくカトリック信仰を続けました。しかし、1834年には文化財の流出を防ぐための「記念物法」を施行しました。

結婚と政治的混乱

1837年、オソンはドイツでオルデンブルク大公パウル・フリードリヒ・アウグストの娘アマーリエと結婚しました。しかし、結婚式はギリシャでは行われず、王妃は政治に干渉し、国民の支持をさらに失いました。1841年にはクレタ島の併合を試みましたが、列強によって阻止されました。

1843年、バイエルンの軍隊がギリシャから撤退すると、ギリシャ軍によるクーデターが発生し、憲法制定を余儀なくされました。議会が設置されたものの、英国艦隊がピレウス港を封鎖する事件も起こり、国王の権威はさらに弱まりました。オソンは東ローマ帝国の再建（メガリ・イデア）を夢見ていましたが、1854年のクリミア戦争に乗じてオスマン帝国に宣戦布告したものの、失敗に終わりました。1861年には、学生による王妃暗殺未遂事件が発生し、民衆は学生を支持しました。

退位と最期

1862年に再びクーデターが起き、暫定政府は国民議会の開催を決定しました。オソン夫妻はイギリス艦でギリシャを離れ、バイエルンへ戻りました。退位後もオソンはギリシャの伝統衣装を着用し続け、1866年のクレタ島での反乱時には自身の財産で武器を購入し、反乱軍に提供しました。1867年、オソンはバイエルン北部のバンベルクで死去し、ミュンヘンに埋葬されました。

人物像

歴史家ロジェ・グルニエによれば、オソンは自身を犬と思い込み、地面に置かれた皿の餌を手を使わずに食べたという逸話があります。これは、彼の奇異な一面を表しているかもしれません。


オソン1世の治世は、ギリシャの独立と新生国家の苦悩、そして外国からの干渉が複雑に絡み合った時代でした。彼の国王としての資質には疑問が残りますが、その生涯はギリシャ史において重要な一章を刻んでいます。

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