ギリシャ独立戦争

ギリシャ独立戦争

ギリシャ独立戦争（1821年～1832年）は、オスマン帝国による支配からの解放を求めたギリシャ人の苦闘を描いた歴史的重要な出来事です。1821年3月25日にギリシャ人が独立宣言を行い、以来11年にわたる戦闘が続きました。戦争は最終的にギリシャに対する自治の承認へとつながり、1832年には正式に独立が認められました。

背景

ギリシャはかつてビザンツ帝国の一部でしたが、1453年にオスマン帝国に占領され、以降長い間その支配下にありました。オスマン帝国はバルカン半島での宗教の多様性を容認していたため、ギリシャ人は当初、比較的安穏に生活を送ることができました。しかし、次第に土地の収奪や政治的な抑圧が増し、貧困層の人々が不満を募らせるようになりました。

18世紀末から19世紀初頭にかけて、西欧での啓蒙思想の波やナショナリズムの高まりがギリシャにも影響を与えました。特に多くのギリシャ人が海外で学び、古代ギリシャ文化への憧れを抱くようになったことで、民族意識の目覚めが促進されました。商人や知識人たちが中心となり、オスマン帝国という抑圧から逃れることを求め、秘密結社フィリキ・エテリアが設立されました。

戦争の展開

ギリシャ独立戦争は、大きく分けて二つの期間にわかれます。第一期（1821年～1825年）は、ギリシャ軍が比較的優位に立っていた時期でしたが、第二期（1825年～1827年）は、オスマン帝国の反撃によってギリシャ軍が壊滅の危機に瀕しました。特にこの期間に、エジプトのムハンマド・アリーの支援を受けたオスマン帝国軍が反乱を抑えつけるために動き、ギリシャ軍に大きな打撃を与えました。

1827年には、列強であるイギリス、フランス、ロシアが介入し、ナヴァリノの海戦でオスマン艦隊が壊滅させられるという転機が訪れます。これは、独立を目指すギリシャ人にとって大きな追い風となりました。

独立の承認

1829年にアドリアノープル条約が締結され、オスマン帝国からの自治国として独立が承認されますが、正式に完全独立が認められたのは1830年のロンドン議定書によってです。この議定書により、ギリシャは列強の保護下に置かれ、限られた範囲での独立が保証されることになりました。

その後、ギリシャ王国が成立し、オットーが初代国王に即位しましたが、実質的には列強の影響下にありました。ギリシャの領土は狭小であり、当時の重要な都市や地域は依然としてオスマン帝国の支配下に留まっていました。

戦争の影響

ギリシャ独立戦争は、ギリシャ民族のアイデンティティを強化するとともに、バルカン半島地域の他の民族の運動にも影響を与え、西欧諸国に支持されることになった。この戦争は後のバルカンの独立運動、特にセルビアやブルガリアの独立運動の出発点ともなりました。

また、ギリシャ独立は、当時のウィーン体制を揺るがせ、民族主義者たちが再び動き出すきっかけとなり、バルカン半島全体の状況を変えることとなっていったのです。そのため、ギリシャ独立戦争は単なる地域の独立運動にとどまらず、後の歴史に大きな影響を与えることとなったのです。

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