ナフプリオ

ギリシャ、アルゴリダ県の県都ナフプリオ

ナフプリオ（ギリシア語: Ναύπλιο / Nafplio）は、ギリシャ共和国のペロポネソス地方に位置する都市であり、アルゴリダ県の県都です。その歴史は古代に遡り、重要な港湾都市として発展しました。特に、ギリシャ独立戦争後の1829年から1834年までの間、ギリシャの首都が置かれたことで知られ、「近代ギリシャ最初の首都」として言及されることもあります。

名称の由来

都市の名前は、アルゴスに対する「新しい市」を意味する言葉に由来します。古代ギリシャ語ではナウプリア（Ναυπλία / Nauplia）と呼ばれていました。時代とともに、ナウプリオン（Ναύπλιον / Naúplion）やアナプリオン（Ἀνάπλιον / Anáplion）など、さまざまなバリエーションで呼ばれるようになりました。中世には、イタリア語でナポリ（Napoli）またはナポリ・ディ・ロマーニア（Napoli di Romania）として知られていました。オスマン帝国時代には、モレア・イェニシェヒルというトルコ語名で呼ばれていました。

地理

ナフプリオは、アテネの南西約90km、トリポリの東約40kmに位置しています。アルゴリコス湾の奥に位置する港湾都市であり、湾に突き出した丘陵上には、最も古い城塞都市であるアクロナウプリアがあります。ナフプリオ港は天然の良港であり、防波堤によって保護されています。半島の付け根の南側には標高216mの山がそびえ、ヴェネツィア人が築いたパラミディ要塞が市街を見下ろしています。また、ナフプリオの西北沖にはブルジイ島があり、中世の要塞が残っています。

歴史

古代

ナフプリオは古代アルゴスの外港として栄え、古くから集落が形成されていました。アクロナウプリアの城壁は、紀元前7世紀から紀元前5世紀にまで遡ります。

中世

中世には、東ローマ帝国、フランク人、ヴェネツィア共和国、オスマン帝国によって支配され、要塞化されました。1388年にヴェネツィアに売却され、「ナポリ・ディ・ロマニア」としてその首都となりました。1540年にオスマン帝国の支配下に入り、モラ・イェニシェヒルと改名されました。1685年にヴェネツィア人が奪回し、パラミディ要塞を築いて都市の防衛を強化しました。しかし、1715年にオスマン帝国によって再び奪い返されました。

ギリシャ独立戦争と首都

1821年にギリシャ独立戦争が始まると、ナフプリオはオスマン帝国軍の拠点となり、激しい包囲戦の末にギリシャ軍が占領しました。その後、ナフプリオは臨時政府の所在地となり、1829年にギリシャの首都となりました。1831年には、イオアニス・カポディストリアス大統領が暗殺されるという悲劇も起きました。1833年にオソン1世がギリシャ国王として即位すると、ナフプリオはそのまま首都となりましたが、1834年にアテネに遷都されました。

現代

1960年代から観光が活発化し、特にドイツやスカンジナビアからの観光客が多く訪れるようになりました。温暖な気候にも恵まれ、アテネ住民の週末旅行の目的地としても人気があります。

産業と経済

主要な産業は観光であり、美しいビーチが観光客を魅了しています。また、タバコや干しブドウなどの農産物も生産されています。

交通

コリントスとカラマタを結ぶ鉄道の支線がナフプリオまで伸びており、港の近くに終着駅があります。アテネとの間は頻繁なバスが運行されています。ナフプリオの港は、漁業・物流の拠点となっています。

文化と観光

ナフプリオには、ミケーネ復興様式で建てられたギリシャ国立銀行の建物など、珍しい建造物があります。また、パラミディ要塞やブルジイ砦などの歴史的な観光スポットも数多く存在します。

ナフプリオは、その豊かな歴史と美しい景観から、多くの観光客を魅了する魅力的な都市です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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