オタマトラザメ

オタマトラザメ（Cephalurus cephalus）

オタマトラザメは、深海性のサメで、ヘラザメ科に属しています。主にカリフォルニア近海に生息し、深度155メートルから937メートルの範囲で見られる底生の生物です。このサメは、全長約24センチメートルで、特徴的な大きな頭部と、おたまじゃくしを連想させる形状をしていることが知られています。また、鰓も大きく、低酸素環境に適した構造を持っています。

分類と歴史

オタマトラザメは1892年にアメリカの魚類学者チャールズ・ヘンリー・ギルバートによって「Catulus cephalus」として記載され、レビジャヒヘド諸島の深海から標本が採取されました。この魚の記載は、24センチメートルの成体雄に基づいています。1941年には、ヘンリー・F・ビゲローとウィリアム・C・シュローダーによって新しい属「Cephalurus」が設けられました。この属には、他にも数種類の未記載種が存在すると考えられています。

生息分布

オタマトラザメはカリフォルニア湾からバハ・カリフォルニア半島までの海域に分布しています。底生生物であり、主に大陸棚の下部から上部斜面において見られ、個体数は比較的豊富であるとされています。

生物の特徴

このサメの和名は、その奇妙な形状がオタマジャクシに似ていることに由来しています。英語名「Lolipop catshark」もこれに由来しています。オタマトラザメは非常に大きな頭部を持ち、そのサイズは全長の約3分の1に達します。頭部は横に広がった形状をしており、短くて丸い吻を持っています。また、目は楕円形で大きく、光沢があり、特徴的な鰓裂は前方へ向かって弧を描いているのが特徴です。

体の構造は非常に柔らかく、ほぼゼラチン質です。他のヘラザメ類との違いは、第一背鰭が腹鰭よりも前方に位置することです。第二背鰭は臀鰭と対を成し、全体の姿勢は流れるように見えます。皮膚は薄く、棘状の皮歯がまばらに分布しており、体全体は灰褐色です。

生態と食性

オタマトラザメは、溶存酸素が低い深海の環境に適応するよう進化しており、主に甲殻類や魚類を餌として食べています。生殖は無胎盤型の胎生で、雌は左右の卵巣からそれぞれ1個ずつの卵を持ち、孵化まで体内で育てることが特徴です。出産は初夏に行われ、出生時のサイズは約10センチメートルです。雄は約19センチメートル、雌は約24センチメートルで性成熟を迎えます。

漁業と保全状況

オタマトラザメには漁業的な価値はなく、主に混獲されることがあるものの、深海に生息しているため漁獲圧は低いです。現在、IUCN（国際自然保護連合）はその保全状況について情報不足としています。オタマトラザメは、その独特な形態と環境への適応によって、海洋生態系の一部として重要な役割を果たしています。

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