オダシゲ

オダ・シゲ

オダ・シゲ（本名：長田重親）は、1943年に神奈川県川崎市で生まれた日本の漫画家です。特に、新聞連載されている4コマ漫画の分野で知られており、その代表作である『まんまる団地』は、1万7千話を超える異例の長期連載を続け、日本で最も長く新聞に掲載されている4コマ漫画として記録を更新し続けています。現在も精力的に活動しており、日本漫画家会議の事務局長も務めています。

会社員から漫画家への道

オダ・シゲ氏のキャリアは、一般的な漫画家とは異なる形でスタートしました。15歳で中学校を卒業後、ニコンに入社し、製造部門の労働者として働き始めます。同時に定時制高校に通い、そこでは美術部に所属していました。この頃は、労働組合の機関紙に挿絵を描く程度で、プロの漫画家を目指していたわけではありませんでした。しかし、26歳の時に参加した日本漫画家会議主催の漫画教室が、彼の人生における大きな転機となります。そこで出会った同会議所属の風刺漫画家、田村久子の紹介を経て、1974年に『全国商工新聞』での週刊4コマ漫画「のんき通り」の連載が始まりました。これが、オダ・シゲ氏にとって初めてのプロとしての漫画連載であり、会社員との兼業という「二足のわらじ」の生活の始まりでもありました。

「まんまる団地」連載と二足のわらじ

「のんき通り」の連載が始まった翌年の1975年、『しんぶん赤旗』の編集局員がオダ氏の作品に注目し、日刊での4コマ漫画連載の打診を行います。これが、後に自身の代名詞となる『まんまる団地』の連載開始に繋がりました。日刊連載は週刊連載と比べて負担が大きく、会社員としての仕事との両立が可能か大いに悩んだといいます。しかし、会社の組合員たちが「私たちもアイデア出しに協力するから」と退職を引き止め、温かい支援の手を差し伸べました。この仲間たちの支えもあり、オダ氏は漫画家と製造業労働者という全く異なる二つの仕事を両立させることを決意します。最初のうちは「半年経ったら会社を辞めよう」と考えていたそうですが、実際に両立できることが分かると、その後約40年間、2003年に会社を定年退職するまで、この「二足のわらじ」の生活を続けることになりました。会社員時代は、勤務のない土曜日や日曜日に一週間分の漫画をまとめて描くというスタイルで多忙な日々を乗り切っていたそうです。

専業漫画家としての活動と栄誉

2003年に会社を退職して以降は、漫画家としての活動に専念するようになります。現在も『まんまる団地』を含む2本の4コマ漫画の連載を継続しており、その長年の功績は高く評価されています。『まんまる団地』が日本の新聞連載4コマ漫画として史上最長寿記録を樹立したことは特筆すべき実績であり、この偉業を含む長年の活躍に対して、2014年度には第43回日本漫画家協会賞特別賞が贈られました。現在、オダ・シゲ氏は茨城県石岡市に在住しています。地域活動にも関わっており、石岡西地域日本共産党後援会の会長も務めています。また、2011年の東日本大震災発生時には、一時的に連載を休止するという判断も行っています。

創作活動の一端

オダ氏の創作スタイルは独特です。漫画のアイデアを生み出すためには、まず新聞や雑誌をじっくりと読み込み、社会の動きや人々の関心事を把握します。その後、テレビやラジオを一切消した静かな空間で、机に向かい腕を組みながら、2～3時間かけてじっくりと考えを練り上げるといいます。意外にも、散歩中や列車内といった移動中にはアイデアが浮かばないそうです。かつて職場の仲間たちと「まんまる団地のアイデアを出す会」を結成したこともあったそうですが、残念ながらこの会からは有効なアイデアは生まれなかったというエピソードも残っています。作画においてはミリペンを使用し、人物を描く際にはまず目と鼻から描き始めるという習慣があるそうです。

主な作品

まんまる団地: 『しんぶん赤旗』（日刊紙）に連載中
のんき通り: 『全国商工新聞』に連載中

これらの作品は単行本としても刊行されています。

『まんまる団地』 一声社
『とっておきまんまる団地』 新日本出版社

オダ・シゲ氏の約40年にわたる「二足のわらじ」のキャリアと、日本最長寿となった『まんまる団地』は、漫画史におけるユニークな存在として、多くの読者に親しまれています。

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