オックスフォード・サーカス駅

オックスフォード・サーカス駅は、ロンドン中心部の活気に満ちたオックスフォード・サーカス地下に位置する、ロンドン地下鉄の重要な交通拠点です。オックスフォード・ストリートとリージェント・ストリートという2本の主要道路が交差するこの場所には、セントラル線、ベーカールー線、ヴィクトリア線の3路線が乗り入れています。ロンドン地下鉄の中でも乗降客数が多く、特にナショナル・レールと接続しない地下鉄駅の中では最も利用者の多い駅として知られています。

1900年、セントラル・ロンドン鉄道（現在のセントラル線）の駅として開業したオックスフォード・サーカス駅は、その後1906年にはベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道（現在のベーカールー線）のプラットホームが追加されました。当初は2路線がそれぞれ独立した駅舎とプラットホームを持ち、運営会社も異なっていました。しかし、開業当初から利用客の増加による混雑は深刻な問題となり、度重なる改良工事にもかかわらず、抜本的な解決には至りませんでした。

混雑緩和のため、1912年から1914年にかけて大規模な改修工事が行われました。この工事では、特にベーカールー線の施設が中心となり、2路線共通のチケット・ホールが新設されるなど、駅全体の構造が大きく変更されました。エレベーターに代わるエスカレーターの導入もこの改修工事で行われ、利用客の利便性向上に貢献しました。しかし、ロンドンの人口増加に伴い、利用客は増え続け、1923年にはセントラル線の施設を中心に、さらなる改修が行われました。

1969年にはヴィクトリア線が接続され、駅はさらに複雑で広大なものとなりました。ヴィクトリア線のプラットホーム建設には、周辺地域に複数の工事用トンネルを掘削する大規模な作業が必要でした。この際に、オックスフォード・サーカス直下に新たなチケット・ホールが建設され、混雑緩和に寄与しました。工事期間中には、オックスフォード・ストリートとリージェント・ストリートの交差点上に仮設橋が架けられ、交通の維持に努めました。

駅の歴史においては、1976年の爆弾発見や、1984年の火災といった出来事もありました。特に1984年の火災は、ロンドン地下鉄における禁煙政策、そして老朽化した設備の近代化と出火対策強化の大きなきっかけとなりました。この火災は、タバコの不始末が原因で発生したとされ、この火災以降、ロンドン地下鉄内は全面禁煙となりました。

現在も、アーガイル・ストリートとオックスフォード・ストリートの交差点には、開業当初から残る2棟の駅舎が保存されています。これらの駅舎は、それぞれ異なる建築家によって設計されたもので、歴史的価値も高く評価されています。

オックスフォード・サーカス駅周辺には、BBC放送センター、オールソウルズ教会、カーナビーストリートといった名所旧跡や、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション、アップルストア、H＆Mなどの商業施設が集中しています。ロンドンのショッピングや観光の中心地として、多くの観光客や地元の人々で賑わう活気あるエリアです。駅は、これらの場所へのアクセス拠点として、ロンドンの日常生活を支える重要な役割を担っています。

オックスフォード・サーカス駅は、歴史と現代が融合するロンドンの象徴的な場所であり、その地下深くには、ロンドンの発展の歴史が刻まれています。

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