オックス・ベーカー

オックス・ベーカーの生涯とキャリア

オックス・ベーカー（本名：Douglas Albert Baker, Sr.）は、1934年4月19日にミズーリ州セデイリアで生まれ、2014年10月20日にコネチカット州ハートフォードで亡くなったアメリカのプロレスラーです。学生時代からアメリカンフットボールを通じて肉体を鍛え、1962年にカンザスシティでプロレスデビューを果たしました。初期のキャリアでは、ヒルビリー・スタイルのギミックを使用し、ベビーフェイスとして活動していましたが、1967年に「ジ・オックス」の名でWWWFに登場し、徐々にヒールとしての地位を確立します。

ベーカーは、その巨体とスキンヘッドに極太の眉毛と髭を特徴とした外見で、リング上で『怪物的存在』として知られ、カナダ・カルガリーのスタンピード・レスリングで北米ヘビー級王座を獲得しました。以降、彼は数多くのレスラーと抗争を繰り広げ、1970年代には特に注目を集めるヒールのトップスターとなりました。1974年にWWA世界ヘビー級王座を獲得した際は、1年以上そのタイトルを保持するなど、レスリング界での影響力を強めていきます。

日本での活躍

日本でも1970年代に数多くの試合に出場し、特に国際プロレスにおいてその名を知られる存在になりました。初来日は1969年で、以降も度々来日し、数多くのイベントに参加しました。1970年の金網デスマッチでは、ラッシャー木村に対して過激な攻撃を行い、木村の足を骨折させる事件も起こりました。この試合を通じて、ベーカーは日本のファンの間でも記憶に残る悪役としてその存在感を高めていきます。

過去のリング禍

ベーカーを語る上で避けて通れないのは、2度のリング禍の事件です。1971年と1972年には、彼が放ったパンチによって、対戦相手が亡くなる事故が発生しました。このことが彼のヒールキャラクターをさらに強調させ、忌まわしいイメージが根付く要因となりました。

映画とテレビ

オックス・ベーカーはプロレスラーとしてだけでなく、映画やテレビでも悪役として活動しました。ロバート・クローズ監督の『バトルクリーク・ブロー』や、ジョン・カーペンター監督の『ニューヨーク1997』に出演し、その強烈なキャラクターをスクリーン上でも発揮しました。また、アメリカのテレビ番組にも出演し、時にはコミカルな一面を見せることもありました。

晩年と死去

1988年に現役を引退した後は、若手レスラーの育成にも取り組むようになりました。彼の指導を受けてデビューしたレスラーも多く、その存在が継承されることとなります。しかし、2014年には心臓発作により亡くなってしまいました。死去後は2014年度のNWA殿堂に迎えられ、彼のプロレスキャリアが評価される形となりました。

オックス・ベーカーのキャリアは、類まれな存在感と印象深いキャラクターで構成されており、プロレス界における彼の影響は今もなお多くのファンの心に残っています。

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