オッター軽偵察車

オッター軽偵察車：カナダ軍の軽装甲偵察車

第二次世界大戦下、カナダ軍は、戦場の偵察活動に用いる軽偵察車を必要としていました。その需要に応える形で誕生したのが、オッター軽偵察車です。本車は、ゼネラルモーターズ社が開発し、ハンバー軽偵察車の後継として1942年から1945年にかけて、1761台がオンタリオ州オシャワで生産されました。

開発と設計

オッター軽偵察車の設計基盤となったのは、シボレーC15 CMPトラックです。小型のオープントップ砲塔を備え、兵装としてボーイズ対戦車ライフルとブレン軽機関銃を搭載していました。この武装は、当時の他の英連邦軍の装甲車と比較するとやや貧弱であり、それが後の運用に影響を与えることになります。

戦線での運用と評価

オッター軽偵察車は、主にイタリア戦線とヨーロッパ北西部戦線でカナダ軍に配備されました。しかしながら、その武装の貧弱さから、陸軍偵察部隊からは劣っていると評価され、次第に他の車両に置き換えられていきました。

それでもオッター軽偵察車は、その任務を完全に終えたわけではありませんでした。輸送部隊の護衛や治安維持といった任務では、その機動性と信頼性から継続して運用されました。また、イギリス空軍（RAF）にも供与され、空軍装甲車中隊（ACC）の装備として、飛行場や補給所の警備に活躍しました。

特に、海外に展開していた英空軍野戦中隊では、オッター軽偵察車が主要装備として用いられ、自軍飛行場の防衛だけでなく、敵飛行場の奪取作戦にも参加しています。中東や南部ヨーロッパでの作戦において、その存在感は大きかったと言えるでしょう。

戦後

第二次世界大戦後も、オッター軽偵察車は使用され続けました。インドネシア独立戦争ではオランダ軍が使用し、中東に展開していた英軍の車両は、ヨルダン、エジプト、レバノンなどの軍隊に売却されました。

まとめ

オッター軽偵察車は、その武装の面ではやや劣る部分もありましたが、大戦中から戦後にかけて様々な場所で運用され、カナダ軍のみならず、複数の国の軍隊に貢献しました。シボレーC15 CMPトラックを基盤とした設計、そして大戦中の様々な戦線での活躍は、オッター軽偵察車の歴史的意義を物語っています。その簡素ながらも堅牢な設計、そして世界中で見られた運用実績は、この車両が時代を象徴する存在であったことを示しています。 様々な国々の軍隊で活躍したオッターは、その歴史的意義だけでなく、当時の軍事技術や国際情勢を考える上で重要な資料と言えるでしょう。限定的な武装でありながらも、その機動性と信頼性から多くの任務をこなしたオッター軽偵察車の存在は、第二次世界大戦、そして戦後の世界を理解する上で貴重な一端を担っています。

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