ボーイズ対戦車ライフル

ボーイズ対戦車ライフル

ボーイズ対戦車ライフル（英: Rifle, Anti-Tank, .55in, Boys）は、イギリスが1930年代に開発した対戦車ライフルです。この武器は、従来の小銃に比べて高い貫通力を持っており、特に初期の戦車に対する攻撃に有効であることが求められました。名称は開発者のH.C.ボーイズ大尉に由来しています。

概要

ボーイズ対戦車ライフルは1937年にイギリス軍に採用され、ボルトアクション式の設計がなされました。1934年から開発が進められ、1936年には試作段階に入ります。初期の名称は「Stanchion anti-tank rifle」でしたが、高名なボーイズ大尉の死去を受けて現在の名前に改名されました。その銃身は36インチ（914.4mm）に達し、発射される弾薬は13.9mm口径です。この銃は、戦車や掩蔽壕、機銃座、非装甲車両に対して広く用いられました。

初期の.55 Boys弾は、100ヤード（約91.4m）の距離で、垂直に立てた装甲板への貫通力が通常弾で12mm、徹甲弾で18mmあるとされましたが、初速が低く、遠射性能に優れないことが課題でした。そのため、後の改良型では軽量弾薬が使用され、貫通力の向上が図られました。

後期の運用

ボーイズ対戦車ライフルは、初期はフランスや北アフリカ戦線で配備され、当初のいくつかの戦車に対しては効果を発揮しましたが、戦車の装甲が強化されるにつれてその能力は限界に達しました。太平洋戦線では特にイギリスと連邦軍によって使用されていましたが、特定の戦闘では損害を受けることが多く、その効果が薄れていきました。ただし、ビルマの戦いでは一部の部隊がこのライフルで敵戦車を撃破する実績がありました。

1943年には、より効果的な対戦車兵器であるPIATに代わられる形で正式な運用は終了しましたが、対人戦や軽車両への攻撃に利用され、その運用は長く続きました。1937年から1940年の間に生産された数は約62,000丁に達しました。

構造

ボーイズ対戦車ライフルは、重厚な外観を持ち、全長は約1.6メートル、重量は16kgと通常の小銃よりも大きくなっています。弾倉は脱着可能な箱型で、ボルトアクション式のため手動での操作が必要です。射撃時の反動に対応するためにT字型の脚を備え、銃身全体が25mmほど後退する独特の設計がなされています。

照準器は300ヤードと500ヤードの2段階に調整可能ですが、後期型では固定式に変更され、精度が問題視されることもありました。使用される弾薬は.55口径で、初期型は60gの徹甲弾を747m/sで発射し、後期型であるMk.IIは47.6gの徹甲弾を884m/sの初速で飛ばしました。

各型

ボーイズ対戦車ライフルには、主にMk.IとMk.IIの2種類の型が存在します。Mk.Iは、円形の銃口制退器を搭載し、イギリスで製造されたものです。一方、Mk.IIはカナダの製造で、簡略化された構造が特徴です。これらのモデルは、特に生産地によって区別され、外見の差異があるとされています。

使用国

ボーイズ対戦車ライフルは、イギリスをはじめ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど多くの国で使用されました。特にフィンランドやフランスでも戦争中に使用され、その後アメリカやソビエト連邦にも伝えられました。

出典

この対戦車ライフルは映画やアニメ、ゲームの中でも取り上げられ、多くのメディアに影響を与えています。特に独特なデザインと歴史的背景により、軍事ファンの間で高く評価されています。

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