オットー・ギュンシェ

オットー・ギュンシェは、1917年9月24日にドイツ、テューリンゲン州イェーナで生まれました。彼の人生は、ナチス・ドイツの興亡と深く結びついています。

生い立ちと親衛隊への道

1931年、ギュンシェはヒトラーユーゲントに入団し、その後の1934年には親衛隊（SS）隊員となります。ライプシュタンダルテSSアドルフ・ヒトラー（LSSAH）への入隊を経て、1935年には国家社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）に入党しました。彼の身長は2メートル近くあり、その体格が買われ、1936年からはアドルフ・ヒトラーの身辺警護を担当する総統警護隊に選抜され、護衛任務に従事しました。

第二次世界大戦での役割

1940年6月22日の独仏休戦協定では、ギュンシェはヒトラーの警護を担当し、ヒトラーからフランス代表団が抵抗する素振りを見せたら即座に射殺するよう命じられていました。1941年には、バート・テルツのSS士官学校で士官教育を受け、その後、前線勤務を経て、1943年1月にはヒトラーの個人副官となります。

その後、ギュンシェは半年間、LSSAHの中隊長として再び前線に立ち、1944年2月に再びヒトラーの個人副官となります。1944年7月20日のヒトラー暗殺未遂事件では軽傷を負いました。1945年1月には、ヒトラーと共にベルリンへ移ります。

ヒトラーの最期と遺体焼却

1945年4月30日、ベルリン攻防戦の最中、総統地下壕でヒトラーが自殺すると、ギュンシェはヒトラーの遺言に従い、総統官邸の庭でヒトラーとその妻エヴァの遺体に大量のガソリンをかけて焼却しました。しかし、ガソリンによる焼却では遺体を完全に燃やし尽くすことはできず、遺体は完全に焼却されませんでした。戦後、遺骨はソ連軍によって回収され、2000年4月にはヒトラーのものとされる頭蓋骨の一部と歯が公開されました。

5月1日、ギュンシェはヴィルヘルム・モーンケSS少将らと共に赤軍によるベルリン包囲網を突破しようとしましたが、5月2日にシュルトハイス・ビール醸造所で赤軍に投降し捕虜となります。

戦後と晩年

戦後数年間、ギュンシェはヒトラー自殺に関してソ連軍の尋問を受けました。尋問中、彼は「私は彼らの遺体を骨一本も残さず完全に燃やし尽くした」と主張しましたが、これは事実とは異なりました。1950年、彼は懲役25年の判決を受け、1953年に東ドイツへ送還され、バウツェン収容所で服役しました。1956年5月2日に出所した後、西ドイツへ脱出し、ボン近郊で会社員として生活しました。その後、2男1女をもうけましたが、自身の経験について公に語ることはありませんでした。

2003年、86歳の誕生日を迎えた8日後に急死。遺骸は遺言により灰にされ、海に散布されました。

登場作品

映画『ヒトラー 〜最期の12日間〜』では、ゲッツ・オットーがギュンシェを演じました。

栄典

ギュンシェは、以下のような勲章を受けています。

鉄十字章 (1939年版)
二級
一級
戦傷章 (1939年版)
黒章
銀章
歩兵突撃章
剣付二級戦功十字章

まとめ

オットー・ギュンシェは、ナチス・ドイツの崩壊までアドルフ・ヒトラーの側近として行動を共にした人物でした。彼の人生は、ナチス政権の核心部分と、第二次世界大戦末期の混乱を物語る上で重要な証言の一つと言えるでしょう。

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