オッド・アルネ・ウェスタッド

オッド・アルネ・ウェスタッド

オッド・アルネ・ウェスタッド（Odd Arne Westad, 1960年1月5日 - ）は、ノルウェーのムーレ・オ・ロムスダール県オーレスン出身の著名な歴史学者です。彼の専門分野は、冷戦史と東アジア国際政治史であり、この分野における世界的な権威として知られています。

学歴と職歴

ウェスタッドは、オスロ大学を卒業後、アメリカのノースカロライナ大学で博士号を取得しました。その後、オスロ大学の準教授、ノーベル研究所の研究員を経て、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス（LSE）の教授および同大学冷戦研究センター長を務めました。LSE在籍中には、ケンブリッジ大学、ニューヨーク大学、香港大学など、世界各地の名門大学で客員研究員として教鞭を執りました。その後、ハーバード大学ケネディ・スクール教授を経て、2019年からはイェール大学歴史学部の教授として後進の指導にあたっています。

多言語能力

ウェスタッドの特筆すべき能力の一つに、多言語を駆使できる点が挙げられます。ノルウェー語、英語、フランス語、ドイツ語に加え、中国語（北京官話）やロシア語も堪能であり、これらの言語を駆使することで、多角的な視点からの研究を可能にしています。

研究業績と受賞歴

ウェスタッドは、冷戦史研究において数々の重要な著作を発表しています。特に、著書『The Global Cold War: Third World Interventions and the Making of Our Times』は、コロンビア大学のバンクロフト賞とアメリカ政治学会のマイケル・リントン賞を受賞し、その学術的な価値が広く認められました。また、2011年には、英国学士院のフェローに選出されるなど、国際的な学術コミュニティからも高い評価を受けています。

主な著書

ウェスタッドの主な著書には、以下のようなものがあります。

単著
Cold War and Revolution: Soviet-American Rivalry and the Origins of the Chinese Civil War, 1944-1946 (1993)
Decisive Encounters: the Chinese Civil War, 1946-1950 (2003)
The Global Cold War: Third World Interventions and the Making of Our Times (2005)（邦訳：『グローバル冷戦史――第三世界への介入と現代世界の形成』）
Restless Empire: China and the World since 1750 (2012)
The Cold War: A World History (2017)（邦訳：『冷戦――ワールド・ヒストリー』）

編著
The Fall of Detente: Soviet-American Relations during the Carter Years (1997)
Brothers in Arms: the Rise and Fall of the Sino-Soviet Alliance, 1945-1963 (1998)
Reviewing the Cold War: Approaches, Interpretations, Theory (2000)

共編著
Beyond the Cold War: New Dimensions in International Relations (1993)
The Soviet Union in Eastern Europe, 1945-89 (1994)
Ending the Cold War in Korea: Theoretical and Historical Perspectives (2001)
The Cold War: A History in Documents and Eyewitness Accounts (2003)
The Third Indochina War: From War to Peace to War (2006)
Perforating the Iron Curtain. European Détente, Transatlantic Relations and the Cold War, 1965-1985 (2010)
The Cambridge History of the Cold War, 3 volumes (2010)

これらの著書は、冷戦史研究における重要な文献として、世界中の研究者や学生に広く読まれています。

研究への貢献

ウェスタッドの研究は、冷戦という複雑な歴史現象を、単なる米ソ間の対立としてではなく、第三世界を含むグローバルな視点から捉え直すことを可能にしました。彼の多言語能力と国際的な視野は、冷戦史研究に新たな地平を切り開き、現代世界における国際関係を理解する上で不可欠な視点を提供しています。

今後の活動

現在、イェール大学で教鞭をとるウェスタッドは、後進の育成にも力を注いでいます。彼の今後の研究活動が、冷戦史研究のさらなる発展に貢献することが期待されています。

外部リンク

* 本務校ホームページ

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