オデオンレコード

オデオンレコード：世界を彩った音楽の軌跡

オデオンレコードは、1903年、ドイツで設立された歴史あるレコード会社です。その社名は、パリのオデオン座に由来しています。本稿では、オデオンレコードの設立から、EMIへの吸収合併、そして現代に至るまでの歴史を詳細に解説します。

設立と初期の展開

オデオンレコードは、1903年、インターナショナル・トーキング・マシーン社によって設立されました。当初はドイツを拠点としていましたが、その影響力は世界各地へと広がっていきました。1911年には、パーロフォンなどのレーベルを保有するカール・リンドストレーム社に買収されました。その後、1926年には英コロムビアに買収され、1931年には英コロムビアがグラモフォン社と合併してEMIが誕生しました。

ビートルズとの深い関わり

イギリスと北米以外では、オデオンはビートルズのレコードに使用されたレーベルとして広く知られています。日本では、東芝音楽工業（現在のユニバーサルミュージック合同会社）から発売されたビートルズのレコードには、パーロフォンのロゴの代わりにオデオンのロゴが使用されました。これは、当時の日本におけるビートルズ人気を牽引した高嶋弘之氏の戦略によるものでした。高嶋氏は、既存のレーベルではビートルズのイメージに合わないと判断し、オデオンを選んだとされています。ただし、日本のオデオンは海外のオデオンとはロゴや扱う音楽において独立した存在でした。アップルレコード設立後、オデオンロゴは一旦消えましたが、1970年代後半から1990年代後半にかけて再び使用されました。

世界各国におけるオデオン

オデオンレコードは、ドイツ発祥ですが、そのロゴは世界中に広まりました。第二次世界大戦や音楽業界の再編の影響を受けながらも、フランス、日本、ブラジル、トルコ、アフリカ諸国などでは、EMI傘下の主要レーベルとして、あるいは新たなレーベルとして存続・発展を遂げました。

ドイツ

ドイツにおけるオデオンは、インターナショナル・トーキング・マシーン社の設立と深く関わっています。同社は、フォノティピアとの提携を通じて、多くの著名な歌手や演奏家の録音を手がけました。カール・リンドストレーム社への買収、そしてEMI傘下入りを経て、今日に至るまで、ユニバーサル ミュージック グループ傘下のレーベルとして存続しています。ナチス政権下での運営や戦後の再建といった歴史的出来事も経験しています。

日本

日本オデオン株式会社は1930年に設立されましたが、その後パルロフォンレコードに吸収されました。1963年、東芝音楽工業がEMIの日本発売元となり、オデオンレコードをビートルズのレコードに使用したことで、日本におけるオデオンは新たな歴史を刻みました。

フランス

フランスでは、パテ兄弟商会を経てEMI傘下となり、イヴ・モンタンやレオ・フェレといった著名なアーティストの作品がオデオンからリリースされました。CBSレコードへの吸収合併後も、オデオンの商標は存続し、1990年代にはオデオン・レーベル・グループを形成していました。2013年にはワーナー・ミュージック・グループに売却されました。

トルコ

トルコでは、ブルメンタール兄弟によってオデオンの販売代理店が設立され、後にOrfeon Recordという独自のレコード会社も設立されました。Gramofon Limitet Şirketiを経て、Plaksan A.Ş.がオデオンレコードを展開し、カセットテープやCDの製造も開始しました。2011年にはAvrupa Müzikに売却されました。

ブラジル

ブラジルでは、カーザ・エジソンがオデオンレコードのロゴを使用しレコードを発売し、1913年には自社プレス工場を設立しました。1931年にEMIによって法人化され、1974年にはEMI-オデオンと改名されました。2012年にユニバーサル ミュージック グループ傘下となりました。

アルゼンチン

アルゼンチンでは、1919年にThe Argentine Talking Machine Worksが設立され、オデオンレコードの生産が始まりました。ディスコ・ナシオナルを経て、法律変更に伴い社名変更を繰り返した後、EMI-Odeon S.A.I.C.となり、2012年にユニバーサル ミュージック グループ傘下に入りました。

まとめ

オデオンレコードは、その歴史の中で、数々の音楽業界の変革を経験し、世界各国で独自の展開を見せてきました。ビートルズとの関わり、そしてそのロゴは、音楽史における重要な足跡として、これからも記憶され続けるでしょう。

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