レオ・フェレ
レオ・フェレ（Léo Ferré, 1916年8月24日 - 1993年7月14日）は、フランスを代表する音楽家であり、作詞家、作曲家、そして歌手として多岐にわたる才能を発揮しました。特に、ボードレール、ヴェルレーヌ、ランボー、アポリネールといった著名な詩人たちの作品に曲をつけたことで知られ、文学的なシャンソンの分野において重要な存在です。また、自ら作詞作曲した「パリ・カナイユ（Paris Canaille）」は、彼の代表曲の一つとして広く親しまれています。
1916年、レオ・フェレはモナコで生まれました。幼少期は隣国イタリアで教育を受け、その後モナコのリセ・ド・モナコで哲学系のバカロレアを取得。1935年には法律などを学ぶためパリに移り、シアンスポ（パリ政治学院）で行政学を専攻しました。この時、同級生には後にフランス大統領となるフランソワ・ミッテランがいました。1939年にモナコへ戻り、作曲法を本格的に学び始めました。1943年には最初の妻オデットと結婚しました。
第二次世界大戦終結後、エディット・ピアフの勧めで自作曲を歌い始めましたが、彼のシュルレアリスムの影響を受けた個性的な歌詞は、当時の聴衆には受け入れられませんでした。1947年、生活費を稼ぐために音楽出版社「Le Chant du Monde社」と契約しましたが、この出版社はレコード会社も運営していたにも関わらず、1947年から1953年の契約期間中にアルバムを一枚もリリースすることなく契約は終了しました。1950年にはオデットと離婚し、1952年にマドレーヌ（Madeleine Rabereau）と再婚しています。
1953年4月、レオ・フェレはオデオンレコードに所属し、スタジオでの録音活動を開始しました。同年4月には、アポリネールの詩に曲を付けた「ミラボー橋（Le Pont Mirabeau）」を発表。この曲は後に彼の代表作の一つとなり、彼が「シャンソン・リテレール（文学的シャンソン）」の巨匠と呼ばれるきっかけとなりました。また、同年には自身が作詞作曲した「パリ・カナイユ（Paris Canaille）」が、カトリーヌ・ソヴァージュの歌唱によって大ヒット。この曲を主題歌とした映画が1955年に制作され、レオ・フェレの名は広く知られるようになりました。しかし、以前契約していた「Le Chant du Monde社」から契約満了条件を達成していないとして、アルバム制作を要求され、1953年10月と11月にレコーディングを行い、アルバム『Chansons de Léo Ferré』をリリースしました。1957年には、ボードレールの詩に曲を付けたアルバム『Les Fleurs du mal』をオデオンレコードから発表。1958年にオデオンレコードとの契約を終えた後、しばらくレコード会社との契約はありませんでしたが、映画音楽などを手がけ、音楽活動を継続しました。
1960年、レオ・フェレは当時急成長していたレコード会社「バークレー・レコード」と契約しました。この会社には、ダリダやアンリ・サルヴァドール、シャルル・アズナヴールらが所属していました。アナーキストを自認していたフェレは、1968年のパリ五月革命に触発され、アルバム『L'Été 68』を発表。「犬」などの反体制的な曲は、五月革命に参加していた若者たちから圧倒的な支持を得ました。バークレー・レコード移籍後、7枚目のアルバム『Cette chanson』を発表する際、エディット・ピアフに捧げた「À une chanteuse morte」という曲を収録する予定でしたが、当時バークレーがミレーユ・マチューをピアフの再来として売り出していたことを揶揄する一節があったため、レコード会社側の判断で別の曲に差し替えられて発売されました。この一件でフェレ側は提訴しましたが、最終的に敗訴。しかし、バークレー・レコードとの契約は1974年まで続きました。
1976年から1979年にかけて、RAI国立交響楽団と共演したアルバムを複数枚発表しました。1982年には、ベートーヴェンの「エグモント」序曲に歌詞を付けました。1987年には、フランス、ドイツ、オーストリア、イタリア、ベルギー、カナダ、日本でコンサートツアーを行いました。1991年には、アルチュール・ランボーの没後100周年を記念して、アルバム『Une saison en enfer（地獄の季節）』を発表。1993年のパリ祭（7月14日）に、その生涯を閉じました。
Paris canaille (1953年)
Chansons de Léo Ferré (1954年)
Le Piano du pauvre (1954年)
Le Guinche (Huit Chansons nouvelles) (1956年)
Poète... vos papiers ! (1956年)
Les Fleurs du mal (1957年)
La Chanson du mal-aimé (1957年)
Encore... du Léo Ferré (1958年)
Paname (1960年)
Les Chansons d'Aragon (1961年)
La Langue française (1962年)
Ferré 64 (1964年)
Verlaine et Rimbaud (1964年) ※2×LP
Léo Ferré 1916-19… (1966年)
Cette chanson (La Marseillaise) (1967年)
Léo Ferré chante Baudelaire (1967年) ※2×LP
L'Été 68 (1969年)
Les Douze Premières Chansons de Léo Ferré (1969年)
Amour Anarchie (1970年) ※2×LP
La Solitude (1971年)
La Chanson du mal-aimé (1972年)
La Solitudine (1972年)
Il n'y a plus rien (1973年)
Et… basta ! (1973年)
L'Espoir (1974年)
Ferré muet... dirige (1975年)
Je te donne (1976年)
La musica mi prende come l'amore (1977年)
La Frime (1977年)
Il est six heures ici et midi à New York (1979年)
La Violence et l'Ennui (1980年)
Ludwig-L'imaginaire-Le bateau ivre (1982年) ※3×LP
L'Opéra du pauvre (1983年) ※4×LP
Les Loubards (1985年)
On n'est pas sérieux quand on a dix-sept ans (1986年) ※2×LP
Les Vieux Copains (1990年)
* Une saison en enfer (1991年)
レオ・フェレは、その独特な音楽性と文学的な歌詞、そしてアナーキストとしての思想を通じて、フランスの音楽史に大きな足跡を残しました。彼の作品は、今もなお多くの人々に愛され、影響を与え続けています。
生涯
誕生と教育
1916年、レオ・フェレはモナコで生まれました。幼少期は隣国イタリアで教育を受け、その後モナコのリセ・ド・モナコで哲学系のバカロレアを取得。1935年には法律などを学ぶためパリに移り、シアンスポ（パリ政治学院）で行政学を専攻しました。この時、同級生には後にフランス大統領となるフランソワ・ミッテランがいました。1939年にモナコへ戻り、作曲法を本格的に学び始めました。1943年には最初の妻オデットと結婚しました。
音楽活動の開始
第二次世界大戦終結後、エディット・ピアフの勧めで自作曲を歌い始めましたが、彼のシュルレアリスムの影響を受けた個性的な歌詞は、当時の聴衆には受け入れられませんでした。1947年、生活費を稼ぐために音楽出版社「Le Chant du Monde社」と契約しましたが、この出版社はレコード会社も運営していたにも関わらず、1947年から1953年の契約期間中にアルバムを一枚もリリースすることなく契約は終了しました。1950年にはオデットと離婚し、1952年にマドレーヌ（Madeleine Rabereau）と再婚しています。
オデオンレコード時代
1953年4月、レオ・フェレはオデオンレコードに所属し、スタジオでの録音活動を開始しました。同年4月には、アポリネールの詩に曲を付けた「ミラボー橋（Le Pont Mirabeau）」を発表。この曲は後に彼の代表作の一つとなり、彼が「シャンソン・リテレール（文学的シャンソン）」の巨匠と呼ばれるきっかけとなりました。また、同年には自身が作詞作曲した「パリ・カナイユ（Paris Canaille）」が、カトリーヌ・ソヴァージュの歌唱によって大ヒット。この曲を主題歌とした映画が1955年に制作され、レオ・フェレの名は広く知られるようになりました。しかし、以前契約していた「Le Chant du Monde社」から契約満了条件を達成していないとして、アルバム制作を要求され、1953年10月と11月にレコーディングを行い、アルバム『Chansons de Léo Ferré』をリリースしました。1957年には、ボードレールの詩に曲を付けたアルバム『Les Fleurs du mal』をオデオンレコードから発表。1958年にオデオンレコードとの契約を終えた後、しばらくレコード会社との契約はありませんでしたが、映画音楽などを手がけ、音楽活動を継続しました。
バークレー・レコード時代
1960年、レオ・フェレは当時急成長していたレコード会社「バークレー・レコード」と契約しました。この会社には、ダリダやアンリ・サルヴァドール、シャルル・アズナヴールらが所属していました。アナーキストを自認していたフェレは、1968年のパリ五月革命に触発され、アルバム『L'Été 68』を発表。「犬」などの反体制的な曲は、五月革命に参加していた若者たちから圧倒的な支持を得ました。バークレー・レコード移籍後、7枚目のアルバム『Cette chanson』を発表する際、エディット・ピアフに捧げた「À une chanteuse morte」という曲を収録する予定でしたが、当時バークレーがミレーユ・マチューをピアフの再来として売り出していたことを揶揄する一節があったため、レコード会社側の判断で別の曲に差し替えられて発売されました。この一件でフェレ側は提訴しましたが、最終的に敗訴。しかし、バークレー・レコードとの契約は1974年まで続きました。
1970年代以降
1976年から1979年にかけて、RAI国立交響楽団と共演したアルバムを複数枚発表しました。1982年には、ベートーヴェンの「エグモント」序曲に歌詞を付けました。1987年には、フランス、ドイツ、オーストリア、イタリア、ベルギー、カナダ、日本でコンサートツアーを行いました。1991年には、アルチュール・ランボーの没後100周年を記念して、アルバム『Une saison en enfer（地獄の季節）』を発表。1993年のパリ祭（7月14日）に、その生涯を閉じました。
ディスコグラフィー
スタジオ・アルバム
Paris canaille (1953年)
Chansons de Léo Ferré (1954年)
Le Piano du pauvre (1954年)
Le Guinche (Huit Chansons nouvelles) (1956年)
Poète... vos papiers ! (1956年)
Les Fleurs du mal (1957年)
La Chanson du mal-aimé (1957年)
Encore... du Léo Ferré (1958年)
Paname (1960年)
Les Chansons d'Aragon (1961年)
La Langue française (1962年)
Ferré 64 (1964年)
Verlaine et Rimbaud (1964年) ※2×LP
Léo Ferré 1916-19… (1966年)
Cette chanson (La Marseillaise) (1967年)
Léo Ferré chante Baudelaire (1967年) ※2×LP
L'Été 68 (1969年)
Les Douze Premières Chansons de Léo Ferré (1969年)
Amour Anarchie (1970年) ※2×LP
La Solitude (1971年)
La Chanson du mal-aimé (1972年)
La Solitudine (1972年)
Il n'y a plus rien (1973年)
Et… basta ! (1973年)
L'Espoir (1974年)
Ferré muet... dirige (1975年)
Je te donne (1976年)
La musica mi prende come l'amore (1977年)
La Frime (1977年)
Il est six heures ici et midi à New York (1979年)
La Violence et l'Ennui (1980年)
Ludwig-L'imaginaire-Le bateau ivre (1982年) ※3×LP
L'Opéra du pauvre (1983年) ※4×LP
Les Loubards (1985年)
On n'est pas sérieux quand on a dix-sept ans (1986年) ※2×LP
Les Vieux Copains (1990年)
* Une saison en enfer (1991年)
レオ・フェレは、その独特な音楽性と文学的な歌詞、そしてアナーキストとしての思想を通じて、フランスの音楽史に大きな足跡を残しました。彼の作品は、今もなお多くの人々に愛され、影響を与え続けています。
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