オムニ・サイト・シーイング

オムニ・サイト・シーイング

『オムニ・サイト・シーイング』は、細野晴臣が1989年に発表した13作目のオリジナル・アルバムです。このタイトルは「全方位観光」という意味を持ち、音楽的な冒険を象徴しています。本作は、前作『エンドレス・トーキング』から4年のブランクを経てのスタジオ・アルバムであり、EPIC/SONY RECORDSへの移籍後初の作品です。

背景

アルバム制作当時、細野は「ワールド・ミュージック」に多大な影響を受けており、特にアラブの音楽に興味を持ちました。この影響を受けて、アラブ系ミュージシャンとのコラボレーションやセッションを行い、本作が生まれました。アルバムは1989年7月21日にリリースされ、当時の音楽シーンにおいても注目を集めました。

その後、2008年12月にはSony Music DirectのGT musicレーベルからリマスター版がリリースされる予定でしたが、一度延期され、2009年に実際のリリースが実現しました。さらに、2020年にはLPレコードとSACDハイブリッド版が登場し、細野の音楽が新たな形で再評価されました。

収録曲

本アルバムには、個性的な楽曲が多数収録されています。以下は特に注目すべき track です。

1. ESASHI (エサシ) - 江差追分にインスパイアされた楽曲で、細野は当時14歳の木村香澄とのアカペラ録音を実現しました。
2. ANDADURA (アンダドゥーラ) - アラブ音楽に根ざした楽曲で、シンガーのアミナとのデュエットが特徴的です。
3. ORGONE BOX (オルゴン・ボックス) - ウィルヘルム・ライヒのオルゴンに言及した内容となっており、深い意味を持ちます。
4. OHENRO-SAN (オヘンロ・サン) - お遍路をテーマにした楽曲で、映画『人間の約束』に使用されています。
5. LAUGH-GAS (ラフ・ガス) - フランス語の歌詞で構成され、アミナがボーカルを担当しています。
6. RETORT (レトルト) - 歌詞が掲載されていますが、細野自身は自身の歌唱に自信がないと逸話があります。
7. KORENDOR (コレンドア) - 日本の田園風景をイメージした楽曲で、非常にユニークな内容となっています。
8. PLEOCENE (プリオシーヌ) - 映画『銀河鉄道の夜』から派生し、細野と福澤もろのデュエットが魅力です。

参加ミュージシャン

このアルバムには様々なミュージシャンが参加しており、細野の音楽的な多様性とコラボレーションが一層際立っています。彼らとの協働により、アルバムはリリース当時の音楽に新しい風を吹き込みました。

このように、『オムニ・サイト・シーイング』は細野晴臣の音楽的探求心と、世界各国の音楽との融合を表現した一枚となっており、リスナーに多彩で深い音楽体験を提供しています。

もう一度検索