オム・プリ

オム・プリ

オム・プリ（Om Rajesh Puri OBE, 1950年10月17日 - 2017年1月6日）は、インド映画界のみならず、国際的な舞台でもその存在感を示した傑出した俳優です。インドのハリヤーナー州アンバーラーで生まれた彼は、生涯にわたり数多くの作品に出演し、その深い演技力と幅広い表現力で観客を魅了しました。故国インドで確固たる地位を築くことからキャリアを開始し、やがてイギリスやアメリカ合衆国の映画界へと活動の場を広げ、多岐にわたる役柄を演じ分けました。

彼の俳優としての道のりは、まずインド映画テレビ研究所での基礎的な学びから始まりました。さらに演技の技術を磨くため、1973年には国立演劇学校に入学し、本格的な演劇訓練を受けました。これらの専門機関での集中的な学びが、後に彼が「インドを代表する俳優」と称される確かな基盤を築きました。

インド国内での華々しい成功を経て、オム・プリは積極的に国際的な作品にも出演するようになります。特にイギリス映画やハリウッド映画への進出は、彼のキャリアにおける重要な節目となりました。異文化間の交流を描いた1999年公開のイギリス映画『ぼくの国、パパの国』では、その卓越した演技が高く評価され、権威ある英国アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされるという快挙を成し遂げました。このノミネートは、彼の演技力が国境を越えて広く認められた証であり、国際的な俳優としての評価を一層確固たるものにしました。

長年の功績と卓越した演技に対して、オム・プリは様々な栄誉を受けています。2004年には、英国との文化交流への貢献などが認められ、大英帝国勲章（OBE）を授与されました。これは、インド人俳優としては異例の栄誉であり、彼の国際的な影響力の大きさと、異文化理解への貢献が評価されたことを物語っています。

オム・プリは非常に多作な俳優であり、様々なジャンルの作品に出演しました。歴史的な大作からコメディ、ドラマまで、幅広い役柄を演じ分けました。代表的な出演作には、リチャード・アッテンボロー監督の『ガンジー』（1982年）や、国際的な評価を得た『ぼくの国、パパの国』（1999年）があります。また、ハリウッド映画ではマイク・ニコルズ監督の『ウルフ』（1994年）や『ゴースト&ダークネス』（1996年）、『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』（2007年）などに出演し、その存在感を示しました。

晩年まで精力的に活動を続け、インド映画ではメガヒットとなった『バジュランギおじさんと、小さな迷子』（2015年）や、彼の遺作の一つとなった『英国総督 最後の家』（2017年）など、多くの話題作に関わりました。彼の出演作品リストは非常に長く、ここではその一部を紹介します。

遠い道 (Sadgati) (1981)
ガンジー (Gandhi) (1982)
ナラシンハ (Narasimha) (1991)
シティ・オブ・ジョイ (City of Joy) (1992)
ウルフ (Wolf) (1994)
ゴースト&ダークネス (The Ghost and the Darkness) (1996)
ぼくの国、パパの国 (East Is East) (1999)
CODE46 (Code 46) (2003)
DON -過去を消された男- (Don) (2006)
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー (Charlie Wilson's War) (2007)
テロ・ポイント ロンドン爆破へのカウントダウン (Shoot on Sight) (2007)
Singh Is Kingg (2008)
デリー6 (Delhi-6) (2009)
ダバング 大胆不敵 (Dabangg) (2010)
闇の帝王DON 〜ベルリン強奪作戦〜 (Don 2)（2011）
ミッシング・ポイント (The Reluctant Fundamentalist) (2012)
マダム・マロリーと魔法のスパイス (THE HUNDRED-FOOT JOURNEY) (2014)
ラクシュミー 女神転聖 (Waarrior Savitri) (2016)
バジュランギおじさんと、小さな迷子 (Bajrangi Bhaijaan) (2015)
インパクト・クラッシュ (Ghazi) (2017)
* 英国総督 最後の家 (Viceroy's House) (2017)

2017年1月6日、オム・プリは残念ながら心臓発作のため、66歳でこの世を去りました。彼の突然の訃報は、インド映画界はもちろん、世界中の映画ファンに大きな衝撃を与えました。

オム・プリは、その深い演技力と幅広い表現力で、長年にわたり多くの人々に感動を与え続けました。インド映画の顔として、また国際的な俳優として残した功績は計り知れません。彼の遺した作品群は、今後も多くの人々に愛され続けるでしょう。

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