オリエ津阪

オリエ津阪の生涯と業績

オリエ津阪（オリエ つさか）は、1912年12月24日に秋田県秋田市で生まれた日本の俳優であり、松竹歌劇団における男役スターとして特に知られています。彼は1930年代のレビュー・ブーム期において、水の江瀧子や宝塚少女歌劇の小夜福子、葦原邦子と共に「男装の麗人」として多くのファンから支持を受けました。その演技力と個性的なキャラクターで、松竹歌劇団の黄金時代を象徴する存在となりました。

生い立ち

幼少期に東京へ移住したオリエは、東洋高等女学校を卒業後、松竹歌劇団への入団を希望します。両親からは反対を受けるも、その情熱を持って劇団のオーディションに挑み、見事に合格。その後、彼は「津阪織江」という芸名で紹介され、松竹歌劇団でのキャリアをスタートさせました。

松竹歌劇での活躍

1930年4月、オリエは「松竹座リーグ戦」に出演し、即座に注目を集めます。続いて、1932年には指導者としての役割を果たす幹部に昇格しました。しかし、同年度には劇団内の争議に巻き込まれ、津阪は争議団に加わることはありませんでしたが、新生松竹歌劇において主演を務めるなどし、多様な経験を積んでいきます。

特に、1935年の『シャンソン・ダムール』や、1940年の台湾公演など、数々の舞台で主演を務め、観客の心をつかみました。彼の役柄は、和物の若衆姿が特に適しているとされ、舞台上での日舞や洋舞のパフォーマンスは多くのレビューで評価されました。

松竹退団後のキャリア

1941年に持病の喘息が悪化したことを機に、松竹歌劇を退団。その後「オリエ座」を旗揚げし、全国各地を巡業するスタイルを取り、多くの地方公演を行いました。しかし、彼はその後日本舞踊に興味を持ち、師匠としての道を歩み始めます。1948年には橘流の家元を継ぎ、その後は日舞の指導に努めました。

晩年と評価

彼の引退後は、舞台からは遠ざかり、喘息や白内障などの健康問題も抱えながら、一般的には忘れられた存在となりました。しかし、彼の能力や影響力は舞台芸術において重要なものであり、特に戦前の日本での評価は高く、近年再評価の動きも見られます。

2003年に逝去した際には、2000年代に入ってからの文献や資料に彼の名が見られるようになり、彼の功績は徐々に後世に引き継がれています。松竹歌劇団の歴史に名を刻んだオリエ津阪の生涯は、日本の演劇史における重要な一ページと言えるでしょう。彼の活動は今も多くの人々の記憶に留められています。

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