オリオン座FU星

オリオン座FU星について

オリオン座FU星（FU Orionis）は、地球から約1,360光年の距離に位置する前主系列星で、オリオン座の一部に属しています。この星は、爆発型変光星に分類されるオリオン座FU型星の典型例として知られています。このタイプの星は、その光度とスペクトルが突然に変動する特徴を持っています。

特徴と観測歴

オリオン座FU星は、オリオン座λ星の近くにある分子雲Sh2-264に属する「バーナード35」という分子雲の中に位置しています。1936年の年末に光度が増し始め、数か月の間にその明るさは16等から9等級まで急激に上昇しました。その後も、約9等級の光度を保ち続けています。1939年には新星として分類されたものの、持続的な減光が見られなかったため、特殊な天体と考えられるようになりました。

さらに、類似の増光を示す天体がいくつか発見されたことにより、オリオン座FU星は1970年にはくちょう座のV1057星、1974年にはくちょう座のV1515星と共に注目されるようになり、新たに「オリオン座FU型星」という変光星のグループが設立されました。

連星系としての新たな側面

オリオン座FU星は、最初は単独の天体と考えられていましたが、2002年にスペインのカラル・アルト天文台で行われた観測によって、もう一つの暗い天体が発見されました。この発見により、オリオン座FU星は、非常に若い星の連星系であると考えられるようになりました。

この連星系では、明るい方の星（FU Ori north）の質量は約0.6太陽質量（M☉）と推測されており、この星は年に約3.8×10^-5 M☉の質量降着があると考えられています。一方、もう一つの暗い星（FU Ori south）の質量は約1.2 M☉とされています。

接触する天体は、それぞれ約250天文単位（au）離れており、どちらの星も半径約11 auの塵円盤に囲まれています。このような塵円盤は、星が成長する際に重要な役割を果たすと考えられています。

近赤外線観測による新発見

2016年には、国立天文台のすばる望遠鏡を用いて、FU Ori型バーストと呼ばれる急激な質量降着の様子が捉えられました。この現象は、星が周囲から物質を急速に取り込む際に引き起こされるもので、観測には近赤外線高コントラスト撮像カメラ「HiCIAO」が使用されました。このような観測は、星形成過程や、初期の星の成長に関する理解を深めるために非常に重要です。

オリオン座FU星は、その独特の特性と変光の仕組みから、今後も多くの研究者に注目され続けることでしょう。

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