オリブリオス

オリブリウス：西ローマ帝国の短い皇帝

オリブリウス（フラウィウス・アニキウス・オリュブリウス）は、472年に短期間西ローマ帝国の皇帝として君臨した人物です。彼の生涯は、当時のローマ帝国の政治的混乱と、東ローマ帝国、ヴァンダル族といった外部勢力との複雑な関係に深く関わっていました。

生い立ちとコンスル就任

オリブリウスはローマの貴族階級出身で、西ローマ皇帝ペトロニウス・マクシムスとは親戚関係にありました。455年にローマがヴァンダル族の王ガイセリックによって略奪された後、彼はコンスタンティノープルへ逃れ、464年には同地でコンスル（執政官）に就任しています。この頃、彼は西ローマ皇帝ウァレンティニアヌス3世の皇女プラキディアと結婚しました。

皇帝即位の背景

ガイセリックは以前からオリブリウスを西ローマ皇帝に擁立しようと画策していました。オリブリウスがプラキディアと結婚したことで、ガイセリックの息子フネリック（プラキデアの長姉エウドキアを娶っていた）と義兄弟の関係になったため、ガイセリックはこれを機にオリブリウスを西ローマの帝位に祭り上げようとしました。

472年、東ローマ帝国皇帝レオ1世は、西ローマ皇帝アンテミウスを支援するためにオリブリウスをイタリア半島へ派遣しました。しかし、オリブリウスはアンテミウスと対立していたリキメルと交渉し、アンテミウスを殺害。反対勢力がなくなった状況で、不本意ながらも皇帝として宣言し、帝位に就きました。

治世と最期

オリブリウスはプラキディアと結婚したことで、テオドシウス朝最後の皇帝と見なすこともできます。しかし、彼の治世は短く、特筆すべき出来事もありませんでした。プラキディア夫人や娘アニキア・ユリアナに先立ち、472年に自然死しました。彼の死後、西ローマ帝国はさらに混乱を深め、476年には滅亡を迎えることになります。

オリブリウスの短い治世は、西ローマ帝国の衰退期における政治的駆け引きと、外部勢力の介入が複雑に絡み合った時代を象徴する出来事と言えるでしょう。

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