オルテッロ

オルテッロ：イタリア競馬史に輝く一頭

オルテッロ（Ortello）は、イタリア競馬史にその名を刻んだ伝説的名馬である。イタリア産馬として初めて凱旋門賞の栄冠を手にしただけでなく、イタリアダービー（現ダービーイタリアーノ）、ミラノ大賞典といった国内主要競走を制覇。さらに種牡馬としても顕著な成功を収め、イタリア競馬界に多大な貢献を果たした。

オルテッロは、イタリアの巨匠ブリーダー、ジュゼッペ・デ・モンテルによって生産された。デ・モンテルは、フェデリコ・テシオというライバルブリーダーを凌ぐほどの生産規模を誇り、オルテッロはその中でも最も傑出した存在だったと言える。17ハンド（約173cm）を超える巨体を持つオルテッロは、その圧倒的な馬格と能力で競走界を席巻した。

2歳シーズン、オルテッロは3連勝でデビューを飾るも、伊グランクリテリウムではアルンティウスに敗れた。しかし、古馬混合のキウスラ賞では、伊オークスと伊ジョッキークラブ大賞を制した強豪エルバを5馬身差で圧勝し、その潜在能力の高さを示した。

3歳シーズンは、オルテッロの真価が問われる時だった。ダービー・レアロではスタートから独走態勢を築き、4馬身差の圧勝劇を演じる。続くイタリア大賞、ミラノ大賞典でも勝利を収め、ファッショ賞（現セントレジャーイタリアーノ）では15馬身もの大差をつけて圧勝した。

そして、最大の目標であった凱旋門賞。当時、凱旋門賞はパリ大賞典よりも賞金が低く、フランス最大のレースではなかったが、前年の優勝馬カンタールやドイツの名馬オレアンダーなど、強豪が揃うレースとなった。5番人気に甘んじたオルテッロは、レースではオレアンダーの後ろにつけ、最後の直線で鮮やかに交わし、追撃するカンタールをも振り切って優勝。イタリア馬として初めて凱旋門賞を制覇するという偉業を成し遂げた。

4歳シーズンは、イギリスのアスコットゴールドカップ挑戦を目指したが、怪我のため断念。凱旋門賞連覇も4着に終わり、競走馬としてのキャリアを終えた。

引退後は、デ・モンテルのティチノ牧場で種牡馬入り。1937年、1939年から1942年、そして1944年と、計6回イタリアリーディングサイアーを獲得するなど、種牡馬としても大成功を収めた。第二次世界大戦の影響により活躍の場はイタリアやドイツに限定されたものの、ドイチェスダービー優勝馬アルゲウ、ミラノ大賞典優勝馬でイタリアリーディングサイアーとなったマチェリオなど、数々の優秀な産駒を輩出した。19歳の時、アメリカへの輸出中に高熱を発症し、その生涯を終えた。

オルテッロの主な産駒には、マチェリオ（ミラノ大賞典優勝、イタリアリーディングサイアー）、アルゲウ（ドイチェスダービー優勝）、トルビード（ダービーイタリアーノ、イタリア大賞優勝）、ヴィッツアノ（ダービーイタリアーノ、ミラノ大賞典優勝）、ウゴリーノダシエナ（ダービーイタリアーノ優勝）などがいる。これらの産駒も、イタリア競馬界に大きな影響を与えた。

オルテッロは、競走馬としての圧倒的な強さ、種牡馬としての成功、そして悲劇的な最期と、数々のドラマチックな出来事を残した。イタリア競馬史における伝説的名馬として、これからも語り継がれていくであろう。

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