オルニトミムス

オルニトミムス：ダチョウ恐竜の謎に迫る

オルニトミムス(Ornithomimus)は、後期白亜紀マーストリヒチアン期、現在の北アメリカ大陸に生息していた獣脚類の恐竜です。その学名は「鳥に似たもの」を意味し、ダチョウ恐竜とも呼ばれるオルニトミムス科の代表的な存在です。全長約3.5メートル、ダチョウのような体型をしており、細長い首、三本指の脚、そして鳥のような頭が特徴です。その姿から、高い走力を持っていたと考えられています。

生物学的特徴：歯のないくちばしと特異な手

オルニトミムス類の中でも初期に発見された種ですが、生息年代はグループの中でも後期に当たります。多くのオルニトミムス科恐竜の特徴は、近縁のストルティオミムスの化石から得られた知見によるところが大きいです。

注目すべきは、獣脚類であるにもかかわらず、口に歯がないことです。代わりに、くちばしを持っていました。そのため、長らくその食性は不明でしたが、1995年にカナダで発見された保存状態の良い化石の研究から、アヒルのくちばしのように多数のスリットを持つことが判明しました。このことから、現在の水鳥のように水中の植物を濾し取って食べていた、植物食の可能性が示唆されています。

また、オルニトミムスの手は非常に細長く、まっすぐな指で構成されており、中手骨と指骨の長さがほぼ同じです。特に、ナマケモノのような手は特徴的で、かつての古生物学者オズボーンは、食事の際に枝を引っ掛けるためではないかと推測していました。この特殊な手は、食性や生活様式を解明する上で重要な手がかりとなります。

羽毛の発見：北米における羽毛恐竜の存在を示唆

2012年、オルニトミムスの体表に羽毛が存在したことが報告されました。ロイヤル・ティレル古生物学博物館所蔵の、幼体から成体までの複数の標本を精査した結果、幼体では毛状の羽毛、成体では前脚の骨に軸を持つ羽毛の痕跡が発見されたのです。成体の羽毛は、現生鳥類の雨覆羽に似た構造をしていた可能性があります。この発見は、幼体は毛のようなもので覆われ、成体では翼状の前脚（pennibrachia）を持っていたことを示唆しています。このpennibrachiaは、飛行や滑空には適していなかったと考えられています。

それまで羽毛恐竜の化石は中国の遼寧省などで多く発見されていましたが、このオルニトミムスの発見は、北米大陸などでも多くの羽毛恐竜が発見される可能性、あるいは保存状態の悪さからこれまで見落とされていた可能性を示しています。

オルニトミムスの発見と系統的位置

最初のオルニトミムス属は、アメリカ合衆国のデンバー累層から発見された脚の基部と部分的な手の骨に基づいて記載されました。その後、カナダでより状態の良い標本が発見され、研究が進んでいます。

オルニトミムス類は獣脚類の中で、どのような系統的位置を占めているのでしょうか。様々な研究がありますが、ここでは一例を示します。（系統樹図はここに挿入）

文化面：メディアにおけるオルニトミムス

オルニトミムスは、ジュラシックパークシリーズにも登場しますが、近縁種のガリミムスと役割が被っているため、目立った活躍はありません。しかし、プレヒストリックパークでは、主人公と共に現代へタイムトリップしたり、ティラノサウルスに襲われたりと、印象的なシーンで活躍しています。また、のび太の恐竜2006では、前腕に翼が生えた姿で描かれています。これらのメディアでの登場を通して、オルニトミムスはより多くの人々に知られるようになりました。

まとめ

オルニトミムスは、その独特の体型、食性、そして羽毛の存在など、多くの謎を秘めた恐竜です。今後の研究によって、さらに多くのことが明らかになることが期待されます。

もう一度検索