ロイヤル・ティレル古生物学博物館

ロイヤル・ティレル古生物学博物館：恐竜化石の宝庫

カナダ、アルバータ州ドラムヘラーのミッドランド州立公園内に位置するロイヤル・ティレル古生物学博物館は、恐竜とバージェス動物群の化石展示で世界的に知られています。特に恐竜のコレクションは世界最大級の規模を誇り、古生物学ファンのみならず、多くの人々を魅了し続けています。

歴史

この地の歴史は、1884年に地質学者ジョセフ・ティレルがアルバートサウルスの化石を発見したことから始まります。その後、バーナム・ブラウンやチャールズ・H・スタンバーグといった研究者たちがドラムヘラーの悪地で次々と恐竜化石を発見し、この地域は古生物学研究の重要な拠点となりました。こうした研究の流れを受け、1985年9月25日、ロイヤル・ティレル古生物学博物館は世界最大級の古生物学博物館として開館しました。博物館の名前は、この地で最初の恐竜化石を発見したティレルの功績を称えて名付けられました。1990年には、エリザベス2世から「王立」の称号を授与され、その権威を高めました。開館初年度には約60万人の来館者を記録し、その後も毎年30万人を超える人々が訪れています。

博物館の近くには、世界自然遺産に登録されているアルバータ州立恐竜自然公園があります。ここでは、世界でも有数の完全な骨格の恐竜化石が数多く発見されており、公園内に設置された博物館のフィールド・センターでは、発掘された化石の展示や実際の発掘作業を見学できるツアーが開催されています。

活動

ロイヤル・ティレル古生物学博物館は、単なる展示施設ではありません。アルバータ州で発見される化石などの試料を収集、保存、研究、展示することを通じて、古生物学的な見地から生態学的関係や歴史などを解釈する研究教育機関としての役割も担っています。2001年時点での管理標本は10万点を超え、魚類、貝類、植物、地質など幅広い分野の研究者が在籍しています。著名な研究者としては、フィリップ・J・カリーが挙げられます。また、教育普及活動として、屋外での発掘サイト見学ツアーも実施されています。

日本の福井県勝山市にある福井県立恐竜博物館とは、2000年11月23日に姉妹館提携を結んでおり、学術交流や共同研究などが行われています。2001年には、福井県立恐竜博物館で企画展「ロイヤル・ティレル古生物学博物館の恐竜たち」が開催され、日本の恐竜ファンにもそのコレクションが紹介されました。

館内

博物館の入口にあるトンネルには、190枚の現生生物の写真が壁一面に飾られており、46億年に及ぶ地球の歴史を来館者に感じさせる演出がなされています。1階の展示室には、35体もの恐竜全身骨格が、生きていた頃の行動を想像させるように復元・展示されています。また、母岩から化石を取り出すクリーニング作業を見学できる設備も設けられています。2階には、バージェス動物群をはじめとする古生代の動物化石が多数展示されているほか、シダやソテツなど中生代に繁茂していた植物が当時の環境を再現した温室で栽培されています。

主な展示物

アルバートサウルス
アロサウルス
カスモサウルス
カンプトサウルス
ストルティオミムス
ティラノサウルス（ブラック・ビューティー）
パキリノサウルス
ボレアロペルタ
* ランベオサウルス

アクセス

公共交通機関でのアクセスは困難で、自動車での訪問が基本となります。レンタカーなどの交通手段がない場合は、カルガリーなどから出発するツアーに参加する必要があります。ツアーはほぼ毎日開催されており、カルガリータワー周辺の観光案内所から出発します。日本語対応のツアーもありますが、事前の予約が必要です。

ロイヤル・ティレル古生物学博物館は、恐竜化石の研究と展示において世界をリードする博物館であり、訪れる人々に太古の世界への探求心を掻き立てる魅力的な場所です。

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