オングロスの戦い

オングロスの戦い：第一次ブルガリア帝国建国への道

680年、東ローマ帝国とブルガール人との間で繰り広げられたオングロスの戦いは、後の歴史を大きく左右する重要な戦いでした。この戦いは、ブルガール人による第一次ブルガリア帝国建国という、大きな転換点をもたらしました。

戦いの背景

大ブルガリア帝国の崩壊後、ハーン・アスパルフ率いるブルガール人の一派は、ドナウ川を渡り東ローマ帝国領内へと侵入、略奪を繰り返していました。当時、東ローマ帝国はウマイヤ朝との戦争に手一杯で、ブルガール人の侵攻に対処する余裕がありませんでした。しかし、680年、東ローマ皇帝コンスタンティノス4世はアラブ人との戦いを終え、ブルガール人の本拠地オノグロスへの親征を決意します。

戦闘の経過

ブルガール人は、東ローマ軍の侵攻に備え、木造の砦を築いて防御を固めました。東ローマ軍は、この砦を攻略することができず、戦況は膠着状態に陥ります。戦いが長引くにつれて、コンスタンティノス4世をはじめ、多くの東ローマ兵士が伝染病に感染し、軍は混乱。ついに東ローマ軍は撤退を開始します。

この機を逃さず、ブルガール軍は撤退する東ローマ軍を追撃し、壊滅的な打撃を与えました。この勝利は、ブルガール人にとって大きな自信となり、その後の勢力拡大に繋がることになります。

戦いの結果と影響

オングロスの戦いでの勝利により、ブルガール人はさらに南下。東ローマ帝国との間に停戦条約を締結し、ドナウ川以南への移住を開始しました。これにより、第一次ブルガリア帝国が建国されることとなります。

オングロスの戦いは、単なる一回の戦闘の勝利に留まらず、東ヨーロッパの勢力図を塗り替える画期的な出来事でした。この戦いによって建国されたブルガリア帝国は、その後数百年に渡りこの地域に大きな影響を与え続けました。

この戦いは、東ローマ帝国にとっては一つの大きな挫折でしたが、ブルガール人にとっては国家を確立するための重要な一歩となりました。この戦いの後、ブルガール人はスラヴ人と融合し、独自の文化を形成していくことになります。

オングロスの戦いは、その後の歴史の流れを大きく変えた、重要な戦いであったと言えるでしょう。

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