コンスタンティノス4世

コンスタンティノス4世：動乱の時代を統治した東ローマ帝国の皇帝

コンスタンティノス4世（650年頃 - 685年9月14日）は、東ローマ帝国ヘラクレイオス王朝の皇帝であり、668年から685年まで在位しました。父コンスタンス2世の長男として生まれ、その治世は帝国の内外に多くの試練が降りかかる時代でした。

生涯

654年、コンスタンティノス4世は父コンスタンス2世によって共同皇帝に任命され、帝位継承者としての地位を確立しました。661年にコンスタンス2世がシチリア島へ出発すると、コンスタンティノス4世とその弟たちは元老院の反対によりコンスタンティノポリスに残されました。668年、コンスタンス2世が暗殺されると、シチリア島でミジジオスが皇帝を名乗って反乱を起こします。コンスタンティノス4世は自ら艦隊を率いてシチリア島へ遠征し、この反乱を鎮圧しました。

また、同時期に小アジア半島でもテマ・アルメニアコンの長官サボリオスがウマイヤ朝と結んで反乱を起こしましたが、これも鎮圧しています。このような内乱を鎮圧する一方で、コンスタンティノス4世は外敵の侵入にも対処する必要がありました。

ウマイヤ朝との戦い

ウマイヤ朝は661年に内戦を終結させると、ムアーウィヤの指導の下、小アジア半島や地中海、アフリカ・プロコンスラリスへの侵入を開始しました。662年には小アジアで攻撃が再開され、669年にはイスラーム軍が首都コンスタンティノポリスの対岸であるカルケドンにまで進出しました。イスラーム艦隊もエーゲ海を経てマルマラ海に進み、673年にはキュジコス半島を前線基地としました。

674年から678年にかけて、イスラーム軍はコンスタンティノープルを包囲しました。しかし、コンスタンティノープルを完全に包囲することができなかったため、攻略は失敗に終わりました。この戦いで、東ローマ帝国軍は「ギリシアの火」を実戦で初めて利用したとされていますが、近年ではウマイヤ朝軍が最初にこの兵器を使用した可能性も指摘されています。

ムアーウィヤはその後も帝国征服の野望を捨てず、679年にはロドス島を制圧しました。しかし、長期間にわたる大作戦はウマイヤ朝にとっても大きな負担となり、680年にムアーウィヤが没すると、後継者のヤズィード1世は東ローマ帝国との和約を結び、ロドス島からも撤退しました。683年にヤズィード1世が没すると、ウマイヤ朝で内戦が勃発したため、イスラーム軍との戦いは一時的に沈静化しました。

アフリカでは、ウマイヤ朝が670年にプロコンスラリスの内陸部にカイラワーンを建設し、カルタゴを狙いましたが、683年にイスラーム軍は原住民と東ローマ帝国の連合軍に惨敗し、カイラワーンを放棄してキレナイカ地方まで撤退しました。

その他の課題への対応

ウマイヤ朝の脅威が減少すると、コンスタンティノス4世は他の問題に対処しました。ブルガール人のバルカン半島進出に対しては、680年に自ら遠征を行いましたが、アスパルフ率いるブルガール軍に敗北し、681年にドナウ川下流流域の領土をブルガール人に与え、植民を認めざるを得なくなりました。これは第一次ブルガリア帝国の成立につながります。

また、イタリアではランゴバルド王国と680年頃に和約を結びました。

さらに、宗教面では680年から681年にかけてコンスタンティノポリスで宗教会議（第3コンスタンティノポリス公会議）を開催し、単性論や単意論を断罪しました。これにより、父コンスタンス2世時代以前のようなオリエントの単性論・単意論信者への配慮は不要になりました。

共同皇帝制度と後継者

コンスタンティノス4世の時代には、2人の弟が共同皇帝の地位にありましたが、681年に彼らからその地位を剥奪し、鼻を削ぎました。また、後継者であるユスティニアノス2世を含む2人の息子も共同皇帝にせず、685年に亡くなるまでただ一人の皇帝として君臨しました。

コンスタンティノス4世は、内外の多くの困難に立ち向かい、東ローマ帝国の安定に大きく貢献しました。その治世は、帝国が次の時代へ進むための重要な転換点となりました。

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