オンデンザメ

オンデンザメについて

オンデンザメ（Somniosus pacificus）は、オンデンザメ科に属する大型の深海性サメです。太平洋の冷たい海域に広く分布し、深海生態系において重要な役割を担っています。

形態

オンデンザメは、ツノザメ目の中で最大級の種であり、その体長は雄で最大440cm、雌で430cmに達します。しかし、深海では推定7mを超える個体も確認されており、さらに巨大な個体が存在する可能性も指摘されています。成熟した個体は、雌で約370cm、雄で約385cm程度です。

体型は流線型で、ずんぐりとした体格をしています。体色は黒みがかった灰色で、2つの背鰭はほぼ同じ大きさで、やや後方に位置しています。臀鰭はありません。近縁の深海性ツノザメと比較して、目が小さく、鼻孔が大きいのが特徴です。口は大きく、上顎の歯は下顎の歯よりも長く、下顎の歯は左右対称の鋸状になっています。胸鰭や背鰭は体の大きさに比べてやや小さめです。皮膚は鮫肌特有のザラザラ感がありますが、深海魚らしく身体は柔らかく、ぷよぷよしています。

分布

オンデンザメは、北太平洋の温帯から寒帯海域にかけて広く分布しており、日本、バハ・カリフォルニア、ベーリング海などで確認されています。生息水深帯は非常に広く、海面から水深2,000m付近までの深海に生息しています。寒い海域では浅い海域にも現れますが、暖かい海域では深海の海底付近に生息しています。日本では、駿河湾での目撃例が多数報告されています。

生態

オンデンザメは肉食性で、表層から大陸棚付近の海底に生息する様々な動物を捕食します。魚類、イカ、タコなどの頭足類、甲殻類、海産哺乳類に加え、生物の死骸も食べます。体の大きさから深海生態系の頂点に立つと考えられており、人間以外には天敵はほとんどいないと考えられています。

繁殖様式はまだ不明ですが、おそらく卵黄依存型の胎生であると考えられています。近縁種のニシオンデンザメの寿命が400歳±100歳と推定されていることから、オンデンザメも同様に長寿命であると予測されています。泳ぐ速度は非常に遅く、時速約1km程度です。目の角膜には、寄生性のカイアシ類が寄生していることが多く、ダルマザメに襲撃されて体表に傷跡が見られることもあります。

人との関わり

オンデンザメは、漁業で混獲されることがありますが、食用には適さないため、通常は廃棄されます。肝臓は肝油の原料として利用されますが、深海性であるため漁獲量は少なく、産業的に重要な種とは言えません。深海に生息するため、人間との直接的な関わりは少ないです。動きが遅く、人を襲うことはほとんどないと考えられています。しかし、体の大きさと食性から、潜在的には危険である可能性も否定できません。

飼育記録

深海に住むオンデンザメの飼育は非常に困難で、水族館での飼育例は非常に少ないです。最初の飼育記録は、1988年にアメリカのモントレーベイ水族館で、採集された個体が一時的に飼育されました。日本では、1999年におたる水族館で、複数の個体が短期間飼育されましたが、長期飼育には至りませんでした。その後も、魚津水族館や沼津港[[深海水族館]]などで飼育例がありますが、いずれも短期間の展示にとどまっています。また、仙台うみの杜水族館でも搬入された個体がいますが、展示されずに死亡しています。オンデンザメの飼育は、深海環境を再現する必要があり、水温、水圧、餌の確保など、多くの課題があるため、成功例は極めて少ないのが現状です。

参考文献

魚類学雑誌

関連項目

サメ
軟骨魚類
魚の一覧

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