オークノース銀行

オークノース銀行：中小企業と起業家を支えるテクノロジー銀行

オークノース銀行（OakNorth Bank Plc）は、イギリスのマンチェスターに本社を構える、中小企業（SME）と起業家を主な顧客とする銀行です。オンライン専業であること、そして事業性融資に特化していることが大きな特徴です。

設立と背景

オークノース銀行は、金融機関向けリサーチ分析受託会社Copal Ambaの創業者であるリシ・コースラ（Rishi Khosla）とジョエル・パールマン（Joel Perlman）によって設立されました。イギリスの銀行業界は長らくロイズ・バンキング・グループ、HSBC、バークレイズ、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドの四大銀行による寡占状態が続いていました。しかし、2013年3月にイングランド銀行金融サービス機構（FSA）が競争促進策として新規参入条件を大幅に緩和したことを受け、チャレンジャーバンクと呼ばれる新たな銀行が次々と誕生しました。

これらのチャレンジャーバンクは、既存の四大銀行が十分にカバーできていない分野に特化することで急速な成長を遂げています。オークノース銀行もその一つであり、オンライン専業であること、事業性融資と不動産融資に特化していることが特徴です。また、投融資案件の意思決定を支援するシステムとして、機械学習を活用した「Acorn Machine」を採用していることも注目に値します。「Acorn」という名称には、どんぐり（つまり、オーク（ナラ）の木の子供）という意味が込められています。

ユニークなビジネスモデル

オークノース銀行が他のチャレンジャーバンクと異なる点は、決済サービスではなく、事業性融資に重点を置いていることです。他のチャレンジャーバンクは決済関連の技術に大きな投資が必要になる一方で、オークノース銀行はシンプルな技術で完結する事業性融資に特化することで、効率的な運営を実現しています。また、同銀行が開発したプラットフォームは、他の金融機関にもライセンス供与されています。さらに、コアシステムにはAmazon Web Services（AWS）のパブリッククラウドを採用しており、ヨーロッパで初めて勘定系システムを完全にパブリッククラウド上で稼働させた銀行としても知られています。

沿革

オークノース銀行の歴史は以下の通りです。

2013年7月3日：リシ・コースラとジョエル・パールマンにより、現在の持ち株会社であるACORN OakNorth Holdings Ltdの前身であるOakNorth Limitedが設立。
2014年9月30日：Copal Ambaをムーディーズに売却。
2015年3月9日：イングランド銀行健全性監督機構（PRA）および金融行動監視機構（FCA）から銀行業登録の認可を受ける。
2015年3月14日：OakNorth Bank Limitedへ商号変更。
2015年5月26日：アマゾンウェブサービス（AWS）と提携し、コアシステムをクラウドに移行。
2015年9月：持ち株会社としてのOakNorth Holdings Limited（現ACORN OakNorth Holdings Ltd）を設立。
2015年11月11日：シリーズAラウンドでIndiabullsから6,600万ポンドを調達。
2018年9月6日：シリーズBラウンドでEDBI、NIBC、Clermont Group、シンガポール政府投資公社、Coltrane Asset Managementより1億ドルを調達。
2019年2月8日：ソフトバンク・ビジョン・ファンド、Clermont Groupより4億4,000万ドルを調達。

まとめ

オークノース銀行は、テクノロジーを駆使し、中小企業や起業家への融資に特化することで、イギリスの金融業界に新たな風を吹き込んでいます。オンライン専業であること、機械学習を活用した意思決定システム、そしてクラウド技術の積極的な採用は、今後の銀行業界のあり方を考える上で重要な示唆を与えてくれるでしょう。

関連項目

フィンテック

外部リンク

* OakNorth Bank

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