オーグメンテイション研究センター
オーグメンテーション研究センター（ARC）の設立と初期の活動
1960年代、電気技師ダグラス・エンゲルバートは、SRIインターナショナル内にオーグメンテーション研究センター（ARC）を設立しました。このセンターは、コラボレーションと情報処理のための新しいツールや手法を開発・実験することを目的としていました。ARCの最も重要な成果の一つは、革新的なoN-Lineシステム、通称NLSの開発です。また、「コンピュータマウス」のポインティングデバイスの発明や、インターネット初期形成における重要な役割も担いました。
エンゲルバートは、プロジェクトが商業化され、Tymshareを経てマクドネル・ダグラスに買収される1970年代後半まで、ARCを率いていました。
初期の資金提供と開発
エンゲルバートの初期のアイデアの一部は、1959年に空軍科学研究局（現在のローマ研究所）によって資金提供されて開発が始まりました。1962年には、フレームワークドキュメントが公開されています。1963年初頭には、米国国防総省の国防高等研究計画局（DARPA）情報処理技術部（IPTO）の初代所長、J・C・R・リックライダーがプロジェクトへの資金提供を開始しました。最初の実験では、SRIのディスプレイをカリフォルニア州サンタモニカにあったシステム・ディベロップメント・コーポレーションの大型コンピュータ、AN/FSQ-32に接続することが試みられました。
NASAによる資金提供と発展
1964年、NASAはロバート・テイラーの要請を受けて大規模な資金提供を開始しました。カスタム・グラフィック・ワークステーションは、商用コンピュータであるCDC 160AとCDC 3000を中心に構築され、当初は一度に1人のユーザーしか処理できませんでした。1965年にテイラーがIPTOディレクターに就任したことで、さらに資金が増加しました。1968年には、バークレー・タイムシェアリング・システムを実行するSDS 940コンピュータが導入され、複数のユーザーが利用できるようになりました。
このプロジェクトは当初、スポンサーにちなんでARNASと呼ばれていましたが、その後、数年間は拡張された人間の知性研究センターと呼ばれ、1969年頃にオーグメンテイション研究センターに短縮されました。
「すべてのデモの母」
1968年12月、Fall Joint Computer Conferenceにおいて、エンゲルバート、ビル・イングリッシュ、ジェフ・ルリフソンおよびARCのスタッフは、90分間のセッションで、リアルタイムビデオ会議やインタラクティブ編集などのライブデモンストレーションを行いました。当時、コンピュータの利用はバッチ処理が主流であったため、このデモンストレーションは非常に画期的であり、後に「すべてのデモの母」と呼ばれるようになりました。
リファレンス・ライブラリ・サービスとその後
エンゲルバートは、設計中にARPANETで最初のリファレンス・ライブラリ・サービスを提供するためにARCを申し出ました。ARPANETで送信された最初のメッセージは、ARCのコンピュータとUCLAの間でやり取りされました。ラリー・ロバーツは、1974年にDARPAIPTOを去るまで、ARCへの資金提供を続けました。ライブラリサービスは、エリザベス・J・フェインラーが管理するインターネットネットワーク情報センターに発展しました。1976年には、バートラム・ラファエルがプロジェクトを引き継ぎました。
参考文献
D. C. Engelbart (October 23–27, 1960). “Special Considerations of the Individual as a User, Generator, and Retriever of Information”. American Documentation (Berkeley, California) 12 (2): 121–125. doi:10.1002/asi.5090120207.
エリザベス・J・ファインラー (July–September 2010). “The Network Information Center and its Archives”. Annals of the History of Computing (IEEE) 32 (3): 83–89. doi:10.1109/MAHC.2010.54.
ジムノートン、アシスタントディレクター、1969-1977 、SRIインターナショナル、オーグメンテーションリサーチセンター、メンロパーク、カリフォルニア州
関連項目
ダグラス・エンゲルバート
SRIインターナショナル
すべてのデモの母
* ダグ・エンゲルバート・インスティテュート
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