オーストラリアツカツクリ

オーストラリアツカツクリ：オーストラリアの土壌に生きるユニークな鳥

オーストラリアツカツクリ( Megapodius reinwardt) は、キジ目に属するツカツクリ科の鳥類です。オーストラリア北部、ニューギニア島南部、そしてワラセア地域に広がる多くの島々に生息しています。その独特な生態と見た目から、鳥類愛好家の間でも知られています。

見た目の特徴

体長は約40～60cmで、暗褐色の体羽が特徴です。英名であるOrange-footed Scrubfowl（オレンジ足の藪鳥）が示す通り、オレンジ色の太い脚が印象的です。後頭部には、短く尖った冠羽があります。くちばしは赤褐色で、頸部と下面は濃い青灰色をしています。

生息環境と分布

オーストラリアツカツクリは、森林地帯や低木地帯を主な生息環境としています。分布域は広く、オーストラリア北部のダーウィン近郊の公園などにも生息しており、地元の人々からは「Bush Turkey（ブッシュターキー）」と呼ばれています。ニューギニア島南部やワラセアの多くの島嶼でも繁殖が確認されています。現在、6つの亜種が知られています。

モルッカ諸島南部ブル島: M. r. buruensis
小スンダ列島、モルッカ諸島南東部、アルー諸島、ニューギニア南・南東部: M. r. reinwardt（基亜種）
ダントルカストー諸島、ルイジアード諸島: M. r. macgillivrayi
オーストラリア北部: M. r. tumulus
オーストラリア北東部ヨーク岬半島: M. r. yorki
クイーンズランド州東部クックタウンからヤプーンにかけて: M. r. castanonotus

亜種間の分類については、議論のある部分もあります。M. r. buruensis は、別の種であるツカツクリ(Megapodius freycinet) の亜種と見なされる場合もあります。

ユニークな繁殖方法

オーストラリアツカツクリの最も特筆すべき点は、その繁殖方法です。他のツカツクリ類と同様に、卵を孵化させるために、独自の巣作りを行います。砂地、腐葉土、崩壊堆積物などを用いて、高さ3～5m、直径12mにも達する巨大な塚を築きます。この塚は、有機物の腐敗熱を利用して卵を温める役割を果たします。塚の建設や補修作業は、一年を通して行われます。

年に一度、ピンクがかった白色の卵を5～12個産みます。卵の大きさは約90×52mmです。

食性

食性は雑食性で、種子、落ちた果実、そして陸生の無脊椎動物などを食べています。

保全状況

現在、オーストラリアツカツクリの個体数は安定していると考えられており、IUCN（国際自然保護連合）のレッドリストでは軽度懸念（Least Concern, LC）に分類されています。しかし、生息地の破壊や開発などによる影響も懸念されており、継続的なモニタリングが必要です。

参考文献

Jones, Darryl N.; Dekker, Rene W.R.J.; & Roselaar, Cees S. (1995). The Megapodes. Oxford University Press: Oxford. ISBN 0-19-854651-3
Marchant, S.; & Higgins, P.J. (Eds). (1993). Handbook of Australian, New Zealand and Antarctic Birds. Volume 2: Raptors to Lapwings. Oxford University Press: Melbourne. ISBN 0-19-553069-1
* 松井淳『オーストラリア ケアンズ生き物図鑑』文一総合出版、2008年、43頁。ISBN 978-4-8299-0186-1。

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