オーストラリア国立望遠鏡機構

オーストラリア国立望遠鏡機構（Australia Telescope National Facility, ATNF）は、オーストラリアにおける電波天文学研究の中核を担う組織です。連邦科学産業研究機構（CSIRO）の電波物理学部門として発足した後、1989年に現在の体制となりました。ATNFは、世界的に重要な電波望遠鏡群を運用し、国内外の天文学研究者に向けて観測機会を提供することで、天文学の発展に大きく貢献しています。

ATNFが管理・運営する主要な電波望遠鏡は以下の通りです。

オーストラリアコンパクト電波干渉計 (ATCA)：複数の電波望遠鏡を組み合わせることで高い分解能を実現する干渉計です。天体の詳細な構造を観測するのに用いられます。
パークス天文台：直径64メートルの巨大な電波望遠鏡で、パルサーの研究や宇宙の電波源の観測に重要な役割を果たしています。
モプラ望遠鏡：直径22メートルの電波望遠鏡で、様々な波長での観測に対応しています。天文学研究だけでなく、宇宙航行の研究にも貢献しています。
Tidbinbilla電波望遠鏡：深宇宙探査機の追跡や通信に使われる電波望遠鏡で、NASAの深宇宙ネットワークの一部としても機能しています。
オーストラリア長基線アレイ (LBA)：複数の電波望遠鏡を広範囲に配置し、地球規模の仮想的な望遠鏡を構成する技術です。非常に高い分解能で天体を観測することが可能です。
オーストラリア・スクエアキロメートルアレイ・パスファインダー (ASKAP)：広視野の観測能力を持つ電波望遠鏡で、宇宙の構造や進化の研究に貢献しています。ASKAPは他の望遠鏡とは異なり、年に2回の観測提案募集の対象外です。

これらの電波望遠鏡は、国内外の天文学研究者によって利用され、宇宙の様々な謎を解き明かすための重要なデータを提供しています。

ATNFの本部はシドニーにあり、同じ敷地内にはもう一つの国立天文研究機関であるアングロ・オーストラリアン天文台（AAO）の本部も存在します。この地理的な近接性により、両機関の研究者間の協力が促進され、より高度な天文学研究が進められています。

ATNFは、電波天文学の発展に不可欠な役割を果たしており、今後もその活動を通じて、宇宙の謎に迫るための重要な貢献を続けていくでしょう。

関連用語
天文学
電波天文学
望遠鏡
電波望遠鏡

外部リンク
* Australia Telescope National Facility（英語版）

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