パークス天文台

パークス天文台：南半球を代表する電波天文台

パークス天文台は、オーストラリアのニューサウスウェールズ州パークスに位置する、世界的に重要な電波天文台です。オーストラリア連邦科学産業研究機構（CSIRO）の傘下にあるオーストラリア国立望遠鏡機構によって運営されています。この天文台の中核をなすのは、直径64mという巨大な電波望遠鏡であり、南半球においては、アメリカ航空宇宙局（NASA）のキャンベラ深宇宙通信施設の口径70mアンテナに次ぐ、第2位の大きさを誇ります。

電波望遠鏡の卓越した性能

パークス天文台の電波望遠鏡は、その独自の構造によって幅広い周波数帯での観測を可能にしています。望遠鏡の反射面は、内側から外側へ向かって異なる素材で構成されています。最も内側の直径17mは高精度なアルミニウムパネル、その外側の直径45mまでは穴あきアルミニウムパネル、そして最も外側は鉄線のメッシュで覆われています。この構造により、観測する電波の周波数によって有効な開口径が変化し、例えば43GHzの観測では内側の17mのみが使用されます。

観測可能な周波数は400MHzから43GHzに及びます。1.5GHz帯では20素子、6GHz帯では7素子の受信機が搭載されており、多様な観測ニーズに対応できます。この柔軟な設計が、パークス天文台を数々の重要な発見へと導いてきました。

宇宙探査における重要な役割

パークス天文台は、宇宙探査においても重要な役割を果たしています。NASAとの連携を通じて、ガリレオやカッシーニといった数多くの惑星探査機の追跡と通信を担当しています。特に有名なのは、アポロ11号の月面着陸映像を受信したことで、この歴史的な出来事を捉えた映像は世界中に配信されました。この功績は、2000年に制作された映画『月のひつじ』にも描かれています。

天文学における貢献

パークス天文台は、電波天文学の分野で大きな貢献を果たしています。特に、現在知られているパルサーの半分以上が、この天文台の電波望遠鏡によって発見されています。パルサーは高速で回転する中性子星であり、その規則的な電波パルスは宇宙の物理法則の研究において非常に貴重な情報を提供しています。また、天の川銀河を含む宇宙の構造や進化の研究においても、パークス天文台の観測データは重要な役割を担っています。

パークス天文台は、その卓越した技術と観測能力により、天文学と宇宙探査の両分野において、これからも重要な発見をもたらし続けるでしょう。

関連情報

オーストラリアコンパクト電波干渉計: オーストラリア国内の他の電波望遠鏡群との連携による観測能力の向上。
ブレイクスルー・リッスン: 地球外知的生命体の探索プロジェクトにおける、パークス天文台の役割。
* 外部リンク: Parkes Observatory（英語版）

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