オーストラリア国立美術館(NGA)は、
オーストラリア連邦の首都
キャンベラに位置する、
オーストラリアを代表する国立美術館です。
1967年に設立されたNGAは、現在、16万点を超える絵画、彫刻、写真、工芸品など、多岐にわたる美術作品を収蔵しています。そのコレクションは、
オーストラリアの先住民アボリジニの芸術から、ヨーロッパの巨匠の作品、そして現代美術まで、実に幅広く、
オーストラリアの豊かな美術文化を余すことなく反映しています。
美術館設立への道のり:長年の夢の実現
NGAの設立は、
オーストラリアの著名な画家トム・ロバーツ(1856-1931)らによる長年の運動の賜物です。ロバーツは、
オーストラリアの美術を後世に残すため、建国間もない
オーストラリアの初代首相
エドモンド・バートンをはじめとする歴代首相に働きかけました。そして、
アンドリュー・フィッシャー首相(第5代)の承認を得て、1911年に連邦議会に委員会が設置され、
オーストラリアの美術品収集が本格的に開始されました。「連邦芸術諮問委員会」(CAAB)が設立され、美術品の購入が進められていきました。しかし、展示施設の建設は、第一次世界大戦、第二次世界大戦、そして世界恐慌といった困難な時期に見舞われ、長らく遅れていました。計画が本格的に動き出したのは1960年代に入ってからであり、
1967年、ついに
オーストラリア国立美術館は設立されたのです。
充実した収蔵品:オーストラリアの美術史を語る
NGAの収蔵品は、その規模と質において世界的に高い評価を得ています。
オーストラリアの先住民アボリジニの古代の岩絵や、現代の先住民アートまで、多様な文化と表現様式を網羅しています。また、19世紀から20世紀にかけて活躍した
オーストラリアの巨匠たちの作品も数多く所蔵しており、
オーストラリア美術史を理解する上で欠かせないコレクションとなっています。さらに、ヨーロッパの近代絵画や彫刻、アジアの美術品なども収蔵されており、国際的な視点も持ち合わせたコレクションとなっています。これらのコレクションは、常設展示室だけでなく、企画展でも紹介され、来館者を引きつけています。
NGAの役割:美術文化の継承と発展
NGAは、単なる美術館にとどまらず、
オーストラリアの美術文化の保存、研究、教育を担う重要な機関です。教育プログラムやワークショップを通じて、芸術への理解を深める機会を提供しています。また、学術研究にも力を入れており、
オーストラリア美術史に関する重要な資料を保存・公開しています。さらに、国際的な美術界との交流にも積極的に取り組んでおり、国際的な展覧会への参加や、海外美術館との共同研究などを通じて、
オーストラリアの美術文化を世界に発信しています。
まとめ:未来へ繋がるオーストラリアの美術文化
オーストラリア国立美術館は、
オーストラリアの美術文化の象徴として、その歴史とコレクションを通じて、人々に感動と興奮を与え続けています。
オーストラリアの歴史、文化、そして人々の情熱を凝縮したNGAは、今後も、
オーストラリアの美術文化の継承と発展に重要な役割を果たしていくことでしょう。その貴重なコレクションは、未来の世代へと受け継がれていく、かけがえのない遺産です。