オービタ整備施設

オービタ整備施設（Orbiter Processing Facility、OPF）は、アメリカのスペースシャトル計画において、オービタ（軌道船）が次の飛行に向けて整備を受けるための重要な施設です。フロリダ州のケネディ宇宙センター第39発射施設内に、OPF-1、OPF-2、OPF-3という3つのハンガーが設置されています。

これらの施設は、スペースシャトルの運用において中心的な役割を果たしていました。OPFの東側には、スペースシャトル組立棟（Vehicle Assembly Building、VAB）があり、ここでは外部燃料タンク（External Tank、ET）と固体ロケットブースター（Solid Rocket Booster、SRB）がオービタに取り付けられ、発射準備が行われます。OPF-1とOPF-2は隣接しており、低い格納庫で繋がっています。OPF-3は道路を挟んだ場所に位置しています。

OPF-3は、元々はオービタ整備・改修施設（Orbiter Maintenance & Refurbishment Facility、OMRF）と呼ばれていましたが、後にOPFとしての機能が拡充されました。これにより、3つの施設全てがオービタの整備に対応できる体制が整いました。

スペースシャトルのミッションが完了すると、オービタはNASAシャトル着陸施設（Shuttle Landing Facility、SLF）に着陸し、その後、割り当てられたOPFへと移動します。OPFでは、まず使用済みのペイロードが取り外され、機体全体の詳細な点検が行われます。点検の結果に基づいて、必要な修理や改修作業が実施されます。耐熱タイル（Thermal Protection System、TPS）の貼り替えも重要な作業の一つです。宇宙空間から帰還したオービタは、大気圏再突入時の高温にさらされるため、耐熱タイルの損傷は避けられません。そのため、飛行ごとに詳細な検査を行い、損傷したタイルを交換することで、機体の安全性を確保します。

機体の点検、修理、耐熱タイルの交換作業が完了した後、次のミッションで使用されるペイロードの一部がOPFに取り付けられ、ペイロードの点検も行われます。このように、OPFはオービタが次のミッションに向けて再整備されるための中核施設としての役割を担っていました。

各OPFには、特定のオービタが割り当てられていました。OPF-1はアトランティス（Atlantis）、OPF-2はエンデバー（Endeavour）、OPF-3はディスカバリー（Discovery）がそれぞれ使用していました。これらの施設は、各オービタの特性に合わせた整備が行えるように、様々な設備が備えられていました。

スペースシャトル計画の終了に伴い、OPFの役割も変化しましたが、これらの施設はアメリカの宇宙開発における重要な歴史的遺産として保存されています。OPFは、スペースシャトルの安全な運用を支え、数々のミッションの成功に貢献した、重要な施設です。

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