オーブリー・ビアズリー

オーブリー・ヴィンセント・ビアズリー

オーブリー・ヴィンセント・ビアズリー（1872年 - 1898年）は、イギリスのアーティストであり、詩人、そして小説家としても知られています。彼の作品はヴィクトリア朝の世紀末美術を代表し、悪魔的とも称される独特の白黒ペン画は、耽美主義の象徴とされています。しかし、彼は結核によりわずか25歳でこの世を去りました。

生い立ちと教育

ビアズリーは、イングランド南部のブライトンで生まれました。彼の父、ヴィンセント・ポール・ビアズリーは金銀細工師であり、母のエレン・ピットは軍医の娘でした。ビアズリーは2人兄弟の長男で、幼少期からまず音楽を学びました。特に母からの教育を受け、ピアノの才能を早くから発揮し、ショパンを弾くことができるほどに成長しました。

彼は1878年に寄宿学校に入学し、いよいよ絵を描き始めます。しかし、1879年には結核の兆候が見られ、1881年に退学を余儀なくされました。健康の回復を図るために一家でロンドンに移住し、ここで初めて大作の依頼を受けることになります。

アーティストとしての活動

1884年、再びブライトンに戻ったビアズリーは、学校での勉強を続ける傍ら、次第に絵の世界に没頭していきます。彼は1888年にブライトンのグラマースクールを卒業し、ロンドンに移り住みました。そこでは仕事をしながらも、自らの才能を開花させるために努力しました。

1890年代初め、ビアズリーはロンドンの芸術界に登場し始めます。彼はエドワード・バーン＝ジョーンズの推薦でウェストミンスター美術学校に通い、その後、挿絵画家としてのキャリアを確立していきます。特に、オスカー・ワイルド作『サロメ』の挿絵を手掛ける際には、彼の独自のスタイルが注目を集めました。しかし、ビアズリーの絵はワイルドには受け入れられず、両者の関係は緊張を伴うこととなります。

晩年と影響

ビアズリーの活動は非常に多岐にわたり、1884年に創刊された文芸誌『イエロー・ブック』の美術担当編集主任となったことに象徴されます。しかし、1895年にワイルドが逮捕されると、ビアズリー自身も社会的な偏見にさらされることになり、その影響で多くの作品が失われました。彼の作品は非常に独創的であり、日本や他の国々のアーティストにも多大な影響を与えました。

1898年、結核に苦しみながら、フランスのマントンにてビアズリーは死去します。彼の遺産には数多くの未完の作品や猥褻とされる作品が含まれており、死後も彼の名前はアート界において語り継がれています。彼が描いた様々な作品は、後の芸術家にインスピレーションを与え、日本でも多くの作家や漫画家にその影響が認められています。

まとめ

オーブリー・ビアズリーは、短い生涯ながらも印象的なキャリアを築いたアーティストです。彼の作品は、世紀末の耽美主義を象徴するものであり、そのスタイルは今なお多くの人々に愛され続けています。絵画だけでなく、文学においても彼の影響は大きく、現在も彼の作品や思想はアートの世界で重要な位置を占めています。

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