オーラヴ聖王のサガ

『オーラヴ聖王のサガ』（古ノルド語: Óláfs saga helga、英語: Saga of St. Olaf）は、中世に北欧で編纂された、複数の王のサガを包括的に指す名称です。特に、ノルウェー王オーラヴ2世（聖王オーラヴ）の生涯と事績を描いた作品群を指します。

現存するサガ、あるいは記録に残るサガには、以下のようなものがあります。

1190年頃の『Oldest Saga of St. Olaf』(Elsta saga Óláfs helga): 最古のサガとされていますが、残念ながら大部分が失われています。内容については断片的にしか知ることができません。
1210年頃の 『オーラヴ聖王の伝説サガ』(Legendary Saga of St. Olaf、Helgisaga Óláfs konungs Haraldssonar): オーラヴ聖王の生涯を伝説的な要素を交えて描いた作品です。史実に基づきつつも、聖人としてのオーラヴのイメージを強調しています。
Styrmir Kárasonによる1220年頃の『Óláfs saga helga』: Styrmir Kárasonによって編纂されたサガですが、こちらも大部分が失われています。詳細な内容は不明です。
スノッリ・ストゥルルソンによる1225年頃の『Separate Saga of St. Olaf』: アイスランドの詩人であり歴史家であるスノッリ・ストゥルルソンによって編纂されたサガです。オーラヴ聖王の生涯を独立した作品として扱っています。
スノッリ・ストゥルルソンによる1230年頃の『オーラヴ聖王のサガ』（Óláfs saga helga。『ヘイムスクリングラ』に収録）: スノッリ・ストゥルルソンが編纂した『ヘイムスクリングラ（ノルウェー王列伝）』の中に収録されているオーラヴ聖王のサガです。最も広く知られているサガの一つであり、オーラヴ聖王の生涯を詳細に記述しています。政治的な側面や戦い、宗教的な活動などが描かれています。
『Separate Saga of St. Olaf』の拡張版である『Óláfs saga helga』（『フラート島本』に収録）: 『Separate Saga of St. Olaf』を基に、より詳細な情報を加えた拡張版です。『フラート島本』という写本に収録されています。

『オーラヴ聖王のサガ』群は、オーラヴ2世の生涯に関する重要な史料であると同時に、中世スカンディナヴィアの文化、宗教、社会、政治に関する理解を深めるための貴重な資料です。サガに描かれたオーラヴ聖王の姿は、ノルウェーの国民的英雄としてのイメージを形成する上で大きな影響を与えました。

関連項目として、『オーラヴ・トリュッグヴァソン王のサガ』も参照されることがあります。これは、オーラヴ・トリュッグヴァソン王の生涯を描いたサガであり、オーラヴ聖王のサガと並んで重要な王侯物語です。

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