オールド・ブラック

オールド・ブラック：ニール・ヤングの象徴的ギター

ニール・ヤングにとって、ギターは単なる楽器ではなく、彼のアイデンティティそのものです。中でも「オールド・ブラック」は、彼の音楽で特に重要な役割を果たしてきたエレクトリック・ギターです。このギターにまつわるストーリーを紐解くことで、ニール・ヤングの音楽的旅路をより深く理解することができるでしょう。

オールド・ブラックの由来

「オールド・ブラック」という愛称で知られるこのギターは、実際には1953年製のギブソン・レスポール・ゴールドトップです。ヤングは1968年、ジム・メッシーナとのトレードでこのギターを手に入れました。その後、彼の音楽キャリアにおける多数の作品で主要な存在として活躍し続けます。

外観とカスタマイズ

オールド・ブラックは、長年にわたってヤングのギター・テクニシャンであるラリー・クラッグによって多くのカスタマイズが施されています。具体的には、元々のストップ・テールピースをビグスビーB-3ビブラート・テールピースに交換し、その他のハードウェアも随時変更が加えられました。特に注目すべきは、ディアルモンド製のM5-Aブリッジピックアップや、アルミカバーが施されたP-90ピックアップです。加えて、ネックとボディ全体には光沢のある黒ラッカーが施されています。

このギターは、ヤングの音楽スタイルに深く融合し、彼の作品に特有の荒廃した美しさを与えています。実際、オールド・ブラックは、その外観からもヤングの音楽に対するアプローチを物語っており、歴史の一部としての価値を持っています。

音色と使用状況

ヤングは、オールド・ブラックを通じて独特のサウンドを創り出しています。初期の頃はグレッチ6120を多用していた彼ですが、次第にオールド・ブラックをメインのギターとしてレコーディングに使用するようになりました。懐かしい録音作品から最新のアルバムに至るまで、このギターは常に彼を支える存在であり続けています。特に「ディッチ三部作」などの名盤で彼の音楽を支えた重要な楽器です。

現在の状態

ヤングの手元で50年以上も使用されてきたオールド・ブラックは、相当な摩耗を見せています。ボディの約40%が塗装の剥がれや傷で覆われており、引き続きヤングの音楽活動を支えるギターとしての役割を果たしています。ヘッドストックのインレイやトラスロッドカバーも腐食しながらも、今なおその存在感を失っていません。

まとめ

オールド・ブラックは、ニール・ヤングが選んだ数ある楽器の中でも特別な存在です。彼の音楽と深く結びついたこのギターは、美しさと独特の音色で彼のキャリアを象徴しています。今もなお進化を続ける彼の音楽と共に、オールド・ブラックもまた彼の歴史の一部として息づいているのです。

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