カイザー・ヴィルヘルム2世 (客船・2代)

カイザー・ヴィルヘルム2世の歴史

カイザー・ヴィルヘルム2世（SS Kaiser Wilhelm II）は、19,361トンの総トン数を誇り、速力23ノットで航行可能な豪華客船です。この船は、北ドイツ・ロイド社によってシュチェチンで建造され、1903年の春に完成しました。大西洋横断を目的としたこの客船は、その速さと豪華さから広く知られました。

大西洋横断定期船としての活躍

カイザー・ヴィルヘルム2世は、そのデザインと技術により、1904年に東回り航路で名高いブルーリボン賞を受賞しました。この賞は、最速の大西洋横断船に与えられるものであり、当船の優れた性能を証明しています。その後、第一次世界大戦が勃発する直前まで、ドイツとニューヨーク間の定期航路で運航され、一般客から多くの有名人まで、多様な乗客を受け入れました。

特に、1914年8月3日には西回り航路を航行中に誤ってコースを外れ、イギリスの巡洋艦によって発見されるという事件もありました。このため、ニューヨークへ到着するのが3日遅れとなりました。

第一次世界大戦への徴用

しかし、第一次世界大戦が激化する中、カイザー・ヴィルヘルム2世はニューヨークに停泊し続けることになりました。1917年4月6日、アメリカがドイツに宣戦布告したことで、アメリカ合衆国政府に押収され、改修を受けることとなります。押収前にはドイツ人船員による破壊工作が行われており、修理作業は進められましたが、アメリカ側による改修作業も順調に行われました。

アメリカ軍は1917年8月にこの船を徴用し、USS Kaiser Wilhelm II（アガメムノン）と改名しました。この新しい役割として最初の航海でフランスへも航行し、任務は多くの兵士を輸送するものでした。10月にはその最初の任務が完了します。

さらなる任務と苦難

以後も、アガメムノンは任務を続け、1917年11月9日にはドイツの輸送船と接触する事故がありましたが、幸いにも大きな損傷はありませんでした。運航を続けながら、再びアメリカへ帰還し、1918年1月に復帰後は西部戦線への兵士輸送が主な任務となりました。

また、この船はドイツ潜水艦（Uボート）との接触が頻繁にあり、1918年秋にはインフルエンザの流行に見舞われる厳しい状況も経験しました。

戦後の運命

1918年12月、ドイツが停戦を宣言すると、戦争はほぼ終息しました。アガメムノンはその年の8月までに9回の航海をこなし、42,000人の兵士を輸送したという功績がありました。その後は再び輸送船としての役割が期待され、アメリカ合衆国に預けられました。

1920年に改修が終了し、1927年には再びモンティセロ（Monticello）という名前に改名されましたが、豪華客船として運航されることは、これ以降はありませんでした。老朽化が進んだことから、1940年にはスクラップとして解体される運命を辿りました。

まとめ

カイザー・ヴィルヘルム2世は、第一次世界大戦前後の歴史において重要な役割を果たした船舶であり、その運航の歴史は多くの人々に影響を与えました。戦争の影響を受けつつも、多彩な歴史を刻んだ船の物語は、今も語り継がれています。

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